一橋教員の本

懺悔と越境 : 中国現代文学史研究

 
懺悔と越境 

懺悔と越境 : 中国現代文学史研究

 坂井洋史
汲古書院, 2005年9月刊行
ISBN:4762927406   本体11,000円+税
 著者紹介

著者コメント

本書は、中国の現代文学(我が国で所謂「近代文学」とほぼ同じです)はどのような特質を備えているのか、そのような文学の歴史、即ち中国現代文学史とは如何にして記述され得るか、記述されるとすれば、それはどのような形になるか、という原理的な問題を、様々な面から考察したものです。具体的には、中国の知識人、文学者のモダン認識に窺われる思惟上の特質(モダンの一面的な理解)、およびそれが反映しているテクストや言語に関する意識を検証対象とし、そのような特質や意識の、テクストや現象における現れ方を捉え、それをある程度まで歴史的に系譜としてたどることで、新たな中国現代文学史を記述する際に拠るべき枠組が構築され得るとの見解を示したものです。文学史研究を標榜する以上、学術研究に必要な実証性や中国固有の問題の懇切な理解に配慮しながら、瑣末な事実の堆積に終始せず、一方で、外在的な方法論や言説への安易な依拠をも戒めつつ、同時代的な関心に強く裏打ちされた文学史研究の可能性を提示したつもりです。簡単にまとめれば、これは「調べました」というタイプの考察ではなく、「考えました」という、理論一般化への志向を強く打ち出した論考であろうと考えております。



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