一橋教員の本

イスラム世界の経済史

	イスラム世界の経済史
	加藤博著 NTT出版   2005年7月刊行 ISBN：4757141149   本体2,200円＋税
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著者コメント

前近代のイスラム世界が高度な市場経済を展開させたという事実は、世界の歴史を研究する者にとって、常識である。ところが、一般の日本人にとって、この事実はあまり知られていない。過激なイスラム政治運動に関する報道が毎日のようになされており、こうした状況が、われわれのイスラム世界を見る目を曇らせている。本書は、この事実に鑑みて、今日において混迷を深めるイスラム世界を従来とは異なった視角から観察するための契機として、前近代におけるイスラム世界での経済発展の理由を探り、それを世界経済の歴史のなかで位置づけることを試みた。議論の中心は宗教と経済との関係であり、そのなかで、精神的なエネルギーとして経済にインセンティブを与え、経済活動における規範として機能したイスラムの諸相が解説される。