各研究科の紹介

経営管理研究科

研究・ビジネスの最前線で活躍できる人材を育成する専門教育の牽引役

 経営管理研究科( 一橋ビジネススクール,Hitotsubashi University Business school: HUB)は、国際競争力のあるビジネススクールを目指して、2018年に商学研究科と国際企業戦略研究科の一部を 統合して開設された研究科で、経営管理専攻と国際企業戦略専攻があります。

 経営管理専攻は、修学期間が原則5年の研究者養成コースと、2年の経営学修士コース(MBAの 学位が取得できるコース)から構成されています。研究者養成コースは、深い学識を養い、専門分野 における研究能力を培うことを目的としています。修士課程(2年間)ではコースワーク及び専門分野 を中心とした数多くの講義を履修して、研究者としての基礎を固めつつ、修士論文を作成します。修士 の学位を取得し、所定の試験に合格した者は博士後期課程に進学することができます。博士後期課程(3年間)では、各自の研究対象に応じた講義を 履修するとともに、論文指導委員会の指導のもと、博士論文の完成に向けた研究と論文執筆に注力します。

 経営学修士コースは、高度な専門性を要する職業に必要な能力を養い、体系的かつ理論的な知識 に裏付けられた確固たる分析能力を持つプロフェッショナルを育成することを目的としています。企業活動の高度化・グローバル化に伴い、従来にも増 して多様化しつつある社会の人材需要に応えるため、4つのプログラムが用意されています。経営分 析プログラムは、若手の社会人や新卒者を対象に国立キャンパスで開講される平日昼間のプログラムで、ビジネスに関する高度な分析能力の育成を 目的としています。経営管理プログラムは、実務経験を有する社会人を対象に、勤務を続けながら学 ぶことのできるプログラムで、実務経験の体系化を図りビジネスに必要な総合的な判断能力を育成す ることを目的としています。また、経営管理プログラムのサブプログラムとして、ホスピタリティ産業 の将来を担う高度経営人材を育成するためのホスピタリティ・マネジメント・プログラムも開設されてい ます。金融戦略・経営財務プログラムは、ビジネスの現場で活用できる金融の知識と技術を備えた金 融プロフェッショナルの育成を目指しています。経営分析プログラムを除く3つのプログラムは、千代 田キャンパスで平日夜間・土曜に開講されます。

 国際企業戦略専攻は9月開始の英語によるカリキュラムを昼間に開講し、日本で最もグローバル化 した教育を行っています。そこではThe Best ofTwo Worldsをミッションに据えて、日本発の「知」 と欧米から学べる「知」を融合した、ユニバーサルに通用する枠組みの構築を目指すとともに、実務と 理論の融合が実現されています。

 国際企業戦略専攻の教育の特徴は「プレミアム、ブティック、ビスポーク」( p r e m i u m , boutique, bespoke)の3語で表現されます。高い教育能力を備えた教員による非常に質の高い 教育が、教員と学生比が3対1(フルタイムMBA)ないしは1対1(パートタイムのエグゼクティブMBA)という少人数教育のもと、個々の学生のニ ーズに合わせてカスタマイズされた教育が行われています。

 授業では、ケース・スタディー、国内外のフィールドワーク、デジタル技術を活用した最先端のweb 上での講義、シミュレーション、データ分析等の幅広い教育手法が用いられ、ビジネス・プロフェッショ ナルを育成しています。また、イエール大学など海外のトップビジネススクールとのダブルディグリー・ プログラムなどを通じて、学生は日本を超えてグローバルな教育を受けることができます。キャンパス は、企業や官公庁も集中する一橋大学発祥の地、千代田区一ツ橋に立地しています。この地理的環 境を活かして、授業には第一線で活躍中のビジネスリーダーが数多く、招かれます。

 国際企業戦略専攻は日本及び海外の企業において実務経験を有する者(日本及び外国の学生) を対象としており、将来のビジネスリーダーを育成するフルタイムMBA、近い将来の経営幹部候補を 育成するパートタイムのエグゼクティブMBA、研究者養成のDBAのプログラムで構成されています。

経済学研究科

専門的な知識と高度な分析能力を備えた有為な人材の育成

経済学研究科のカリキュラムは、基礎的な段階から高度な内容に至るまで、段階的に経済学の勉 学ができるように、コア科目を中心として編成されています。

 修士課程は、研究者養成と修士専修の二つのコースからなっています。修士専修コースの学生に対 しては、「修士専修コースの専門職業人養成プログラム」が提供されており、「公共政策」、「統計・ファ イナンス」、「地域研究」及び「医療経済」の4つのプログラムにおいて、実践的な指導の下でそれぞ れの分野の系統科目を履修して、修士学位を持った専門職業人を育成することを目的としています。

 博士後期課程に進学する学生には、進学資格試験(Comprehensive exam)を実施しています。 その意図は、研究者の道を歩むのに必要な学力を備えているかどうかを客観的に評価することにあり ます。また、博士後期課程の学生が、できるだけ早く博士の学位を取得できるように、制度の整備を進 めています。特に、リサーチ・ワークショップの拡充、博士論文指導委員会の設立、博士論文計画書の 提出義務化などにより、論文提出のインセンティブを高めています。

法学研究科

法律学の諸分野や国際関係の基礎的研究から実践・応用的研究に及ぶ広範なテーマ

 法学研究科は、法律学・国際関係の分野の優れたスタッフを擁し公法・民事法・刑事法や、一橋伝統のビジネス関係法だけでな く、基礎法から国際法に至る法律学の諸分野、国際関係の理論と歴史などの広範な分野にわたり、高い水準の研究内容を誇っ ています。

 法学研究科には、法学・国際関係専攻と法務専攻(法科大学院)及びビジネスロー専攻が置かれ、法学・国際関係とビジネス を融合させているのが特色です。法学・国際関係専攻は、修士課程とそれに引き続く博士後期課程からなり、修士課程を修了して 大学院を終える場合もありますが、多くは引き続き博士後期課程に進学して博士の学位取得を目指します。また、修士課程や法科 大学院の修了者、その他資格を満たす者は、試験を受けて博士後期課程から編入学することもできます。博士後期課程には研 究者養成コースと応用研究コースの2コースがあります。研究者養成コースは、研究者を養成することを目的とし、応用研究コー スは、実践的・応用的テーマの研究を行い、実務的な領域で活躍できる人材を養成することを目的とし、応用研究コースには、実 務に携わる社会人も受け入れています。

 法務専攻は、専門職学位課程で、いわゆる法科大学院です。ビジネス法務に強く、国際的視野を持ち、豊かな人権感覚を備え た、指導的法曹の養成を目指し、カリキュラムや指導方法に工夫をこらしています。

 ビジネスロー専攻は、社会人のための夜間大学院で、千代田キャンパスにあります。修士課程、博士後期課程とも、ビジネスロ ーの最先端を伝える実践的なカリキュラムを提供し、世界を舞台に活躍できる法曹・法務人材の養成を行います。また、一段と高 い専門性を追求する学生のため、修士課程では、知財戦略とグローバル・ビジネスローの2つの特別プログラムを設けています。

法学研究科法務専攻(法科大学院)

高い資質と志を備える法曹の養成を目指す

 法科大学院は、①専門的知識の習得と創造的な思考力等の育成、②先端的な法領域の理解、③人 間性と責任感の涵養、といった理念を前提として、ビジネス法務の理解と広い国際的視野、そして豊 かな人権感覚の三つの資質を備えた法曹の養成を目指しています。

 さらに、法科大学院は、一人ひとりの人格が尊重される社会を作るという理想を共有し、そのような 理想の実現に貢献できる法律家の養成を目指しています。

 以上のような方針の下で、法科大学院では、理論と実践を有機的に結びつけた教育が行われてい ます。1年次で法律基礎科目を確実に習得し、2年次で応用力を養い、3年次で実務の基礎を身に付 けるという積み上げ方式のカリキュラムが組まれています。また、2年次夏期に、法律事務所、企業法 務部、官庁、民間団体等での実務体験を行うエクスターンシップの科目も置かれています。3年次の 発展ゼミにおいても、理論的な科目とともに実践的なメニューが用意されています。

 それぞれの活動の場で、指導的法曹となれる人材を育てるという高い志を共有する教員と学生に より、連帯感をもちつつも真剣な学修が行われています。

社会学研究科

多様な活動領域でリーダーシップと創造性を発揮できる研究者・社会人の養成

 21世紀の産官学界では、研究者や高い学識をも った社会人の流動性が高まると予測されていま す。そうした背景をふまえ、社会学研究科は、深い 専門知識はもちろん、調査分析力、問題解決力、 企画力、コミュニケーション力などの総合的な能力 を身につけ、多様な活動領域でリーダーシップと 創造性を発揮できる研究者と社会人を養成するこ とを目指しています。

 二専攻のうち、総合社会科学専攻では、社会 学、政治学、心理学、政策学、教育学、人類学、歴 史学、哲学・思想などの分野について先端的な知 識と研究方法を系統的に学ぶとともに、それらを 貫く幅広い視野と多元的思考の獲得をめざしま す。地球社会研究専攻では、グローバルな視点か ら現代の私たちが直面する諸問題を捉えたうえ で、西洋中心の発想から脱却してそれぞれの現場 に即した問題解決を実現可能にする、柔軟な知識 と実践的方法の修得を重視しています。本研究科 の特徴は、これら二専攻が有機的に統合されてい る点です。

 本研究科は近年、卓越した博士号取得者輩出機 関として成長し、全国各地の大学や研究機関に若 手研究者と教員を送りだしています。また、修士号 取得者は、新聞・通信社、官公庁・公益法人、情報系 企業をはじめとする諸機関において、深い知識と 発信力をもった有為の人材として活躍しています。

言語社会研究科

自由な発想と新たな挑戦――人文的専門性をもって現代社会の諸問題に取り組む

言語社会研究科は、1996年に独立研究科として設 立された、若い人文系大学院です。小規模ながら、多彩 な人材を擁する本研究科は、言語と社会の関わりを軸 に、教員・学生相携えて新しい学問領域の開拓を目指し ています。言語・文化・思想・芸術等に関する個別研究・ 横断的研究から、異文化理解や日本語教育、博物館運 営などの実践的領域にまで至る広い領野の中で、既成 の枠にとらわれない興味と好奇心を鍛え、現代の、ある いは人類普遍の問題に取り組むための知識と技を培い ます。海外の大学や研究機関との交流も盛んです。

 研究科は二つの部門に分かれています。第1部門 (人文総合)では、伝統的な分野から先端的な分野ま で、人文学領域を広くカバーする授業科目を提供しま す。数は少ないながらネットワーク的な授業配置によっ て、人文学の現在を考えると同時にそのアクティヴな精 髄に触れ、学術の未来を開拓してゆくことを目標として います。

 2005年に発足した第2部門(日本語教育学位取得 プログラム)は日本語学・日本語教育学・比較文化学を 主とし、一橋大学国際教育センターならびに国立国語 研究所の協力を得て運営されている部門です。第1部 門とも緩やかな連携を保ちつつ、多くの留学生を迎え て、日本語教育の分野で国際的に活躍したい人のため の修練の場を形成しています。

 また本研究科では、研究者を育成するだけでなく、人 文型の専門職業人を積極的に社会に送り出すべく、学 芸員資格や中学・高校英語専修免許の取得課程を設 け、また出版社や美術館、音楽ホール等で独自のインタ ーンシップを行っています。当研究科から各美術館・博 物館へ送り出されている新世代の学芸員は、斯界で高 い評価を受けています。

国際・公共政策教育部(専門職学位課程)

実践的高度専門教育により世界に通用する政策のプロを育成

国際・公共政策大学院は、政策の専門家の育成を目指して2005年4月に発足した専門職大学院です。国際化の進展とともに、国や地方自治体の政策に求められる内容も高度化し、民間の政策アナリストも含め、政策のプロの重要性が増してきています。本大学院は、こうしたニーズに応えるため、法学、国際関係、経済学の高度な専門教育を行いつつ、学問分野や官民の垣根を越えて、現実の重要な政策の分析と評価ができる人材の育成を行うことを目的としています。

国際・公共政策大学院は、2つのコースと4つのプログラム(国際・行政コース:公共法政プログラム、グローバル・ガバナンス・プログラム。公共経済コース:公共経済プログラム、アジア公共政策プログラム。)からなっています。これらのプログラムは、一般(学部新卒者など)の入学者のほか、社会人や留学生も多数受け入れています。

ここでは、様々なバックグラウンドの学生が集まって、国の内外で活躍する明日の政策プロを目指しています。学部のうちからしっかりと目的を定めて勉強し、公共政策の専門家を目指すことを決意した方々が、国際・公共政策大学院でその目標を実現することを期待しています。 



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