一橋教員の本

The making of the 20th century city : towards a transnational urban history of Japan and Europe

The making of the 20th century city : towards a transnational urban history of Japan and Europe

Edited by Rainer Liedtke, Takahito Mori and Katja Schmidtpott
Franz Steiner 2023年4月刊行
ISBN : 9783515134088

刊行時編者所属:
森宜人(経済学研究科)

編者コメント

 本書は、2人の共同編者とともに2018年に立ち上げた日欧都市のトランスナショナル・ヒストリーに関する国際共同研究の成果です。コロナ禍の影響により中断を余儀なくされる局面もありましたが、執筆陣の尽力のおかげでどうにかまとめあげることができました。この間、プロジェクトを推進するためにドイツのレーゲンスブルクおよびベルリンでワークショップを開くとともに、社会経済史学会(オンライン開催)およびヨーロッパ都市史学会(EAUH: European Association for Urban History)で組織したパネル・セッションで中間成果を発表し、フロアから多くの貴重なフィードバックを得ることができました。


 こうして刊行に至った本書の最大の特色は、日本における日本都市史/ヨーロッパ都市史研究と、ドイツにおけるヨーロッパ都市史/日本都市史研究の4領域をクロスオーバー的に架橋した点にあります。また日欧の都市史研究では、都市機能の空間的分離を志向する広域都市計画や、生活様式の「標準化」を通じた居住空間の機能分化に象徴される、計画性・機能性・合理性をメルクマールとするモダニズムの社会思想にもとづく「20世紀都市」の原型が両大戦間期に形成され、高度経済成長期に至るまで拡大・深化し続けたというのが共通認識となっています。「20世紀都市」の形成を本書の主題に設定した所以です。


 近年の歴史研究では、グローバルないしトランスナショナルな視角の導入があらゆる領域において一義的課題として認識されています。本書が、こうした視角にもとづく今後の国際共同研究のあり方について省察する一助となれば望外の喜びです。(森宜人)



Share On