一橋教員の本

刑事訴訟における公判中心主義 : 日本と中国

刑事訴訟における公判中心主義 : 日本と中国

葛野尋之, 王雲海編著(後藤昭, 緑大輔, 本庄武, 青木孝之 [ほか] 執筆)
成文堂 2022年3月刊行
ISBN : 9784792353544

刊行時著者所属:
葛野尋之(法学研究科)
王雲海(法学研究科)
後藤昭(名誉教授)
緑大輔(法学研究科)
本庄武(法学研究科)
青木孝之(法学研究科)

著者コメント

 本書は、2021年3月28日、一橋大学をホストとして開催されたオンライン・シンポジウム「公判中心主義」における研究報告およびコメントをもとに編集したものである。同シンポジウムは、中国人民大学と一橋大学がホストを務め、これまでに4回開催された。両大学のほかにも、学界において活躍する研究者が数多く参加している。


 本書においては、中国法と日本法の比較を軸として、公判中心主義について、その意義、機能、それを具体化するための制度・手続、それに関連する制度・手続などが、多角的に論じられている。公判中心主義は、日本においては早くから刑事訴訟法の基本原則とされてきたものの、捜査・取調べ中心、供述調書への強度の依存などからなる日本型刑事手続のなかでは、その形骸化が指摘されてきた。しかし、とくに近年裁判員制度の実施にともない、その実質化が課題とされ、再生への動きが顕著である。また、中国においても、現在までに、刑事訴訟法において具体的に実現すべき基本原則として認められ、そのための制度・手続の構築が、刑事司法改革の重要課題とされている。本書を通じて、公判中心主義についての理解が深まり、両国の学術研究と実務の発展が促されることを願っている。(葛野尋之)



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