一橋教員の本
価値があるとはどのようなことか
ジョセフ・ラズ著 ; 森村進, 奥野久美恵訳 |
訳者コメント
本書の著者であるジョセフ・ラズ(1939-)は現代の代表的な法哲学者ですが、法哲学だけでなく規範理論一般・政治哲学・倫理学など多岐にわたる多くの業績があります(現在のところ単著12冊)。彼の著作の多くは専門家向けのものですが、公開講義に基づく本書は一般読者にとって一番近づきやすいものです。
本書の原題は「価値・尊重・愛着」で、第1章は個人的な「愛着」を、第2章は社会的実践に依拠するような種類の「価値」を、第3章はもっと自然的な、人が生存することによる「価値」を、第4章は人々への「尊重」と「価値がある」ということの意味というテーマを、それぞれ主題としています。どの章も類書ではなかなか見られないようなオリジナルな洞察に富んでいるので、読者はラズの見解に賛成するにせよしないにせよ、そこから刺激を得て、自らの思索を発展させることになるでしょう。(森村進)