一橋教員の本

法哲学者H.L.A. ハートの生涯 : 悪夢、そして高貴な夢

法哲学者H.L.A. ハートの生涯 : 悪夢、そして高貴な夢

ニコラ・レイシー [著] ; 中山竜一, 森村進, 森村たまき訳 ; 上, 下
岩波書店 2021年2月刊行
ISBN : 9784000614542, 9784000614559

刊行時訳者所属:
森村進(名誉教授)

訳者コメント

 本書は20世紀最大の法哲学者と言われるハーバート・ハートの一生を、それまで知られていなかった日記や手紙や多くの家族・知人とのインタビューを利用して物語る、イギリスらしい本格的な伝記の傑作です。

 ハートの生涯は外面的には波乱万丈のものではありませんでしたが、それにもかかわらず、本書は推薦文で憲法学者の長谷部恭男氏が言っているように「これが学者の伝記かと思うほど面白い!」

 それは哲学的にも、法学的にも、心理学的にも、教育史的にも、社会史的にも、軍事史的にも、また単純に学者世界のゴシップとしても、興味深く読める記述とエピソートに満ちているからです。

 著者のレイシー自身がハート夫妻と親交があり、また哲学の素養を持つ一流の法学者であるために、ハートの人間性についても学問的な業績についても信頼のおける書物になっています。

 私を含む二人の法哲学者と一人の文芸翻訳家が訳者チームとして力を合わせ、読みやすく正確な訳文を生み出したつもりです。

 どうか法学や哲学の専門家はもとよりのこと、それ以外の一般読者もご一読ください。(森村進)



Share On