一橋教員の本

政策保有株式の実証分析 : 失われる株式持合いの経済的効果

政策保有株式の実証分析 : 失われる株式持合いの経済的効果

円谷昭一
日経BP日本経済新聞出版本部 2020年6月刊行
ISBN : 9784532135058

刊行時著者所属:
円谷昭一(経営管理研究科)

著者コメント

 政策保有株式(持合い株式)の売却を日本企業に迫る機関投資家の声は日に日に増している。一方で、株式持合いによって取引先との関係が維持・強化されると主張する声も小さくない。ではなぜこれほど長く議論が続けられているのだろうか。その理由の1つは、株式持合いのメリット・デメリットに関する実証的証拠が不足していることにある。


 本書では、これまで行われてこなかった株式持合いに関する本格的な実証研究を実施した。その分析手法も出来る限りシンプルなものを採用することで、より多くの読者層に結果を訴求できるように工夫している。その結果、株式持合いが強固な企業ほど低利益率であり、利益率の安定性や成長性の面でも優位性はないことが分かった。また、株式を売却しても業績が悪化するという結果は観察されなかった。この結果から、株式持合いは現在ではその経済的意義を失っており、株式の売却を進めることが日本企業の活力向上につながると主張している。



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