一橋教員の本

《オーストリア哲学》の独自性と哲学者群像 : ドイツ哲学との対立から融合へ

オーストリア哲学の独自性と哲学者群像

島崎隆
創風社 2017年12月刊行
ISBN : 9784883522408

刊行時著者所属:
 島崎隆(名誉教授)

著者コメント

 従来《オーストリア哲学》というのは、同じドイツ語圏であるということで、何となくドイツ哲学の中に含まれて来ました。しかし中世以後ハプスブルク帝国が支配し、神聖ローマ皇帝を代々輩出したオーストリアと、近代のプロイセンを中心とするドイツとは異質であり、その哲学傾向も異なります。《オーストリア哲学》は、カント、ヘーゲルらのドイツ哲学に敵対して、言語分析、言語批判を特徴とし、科学哲学の傾向も強いです。その著名な哲学者はウィトゲンシュタイン、さらにカルナップらの論理実証主義者、ブーバー、マッハらですが、現代哲学の《言語論的転回》というのは、オーストリアのマウトナーという言語哲学者の大著から始まっています。本書はウィーン世紀末の文化背景の中で《オーストリア哲学》の思想家群像を議論しつつ、ドイツ哲学との関わりも議論します。本書は日本で初の試みといっていいでしょう。



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