一橋教員の本
江戸・明治 百姓たちの山争い裁判
渡辺尚志著 |
著者コメント
江戸時代の百姓たちにとって、山野は食料、田畑の肥料、燃料、建材など多様な資源の宝庫であり、これら資源の確保は死活問題でした。山野の多くは、一村全体、もしくは近隣の村々で共同利用されましたが、山野のどこまでが自村の領域かをめぐって村々はしばしば対立し、幕府や領主に頻繁に訴訟を起こしました。明治期になると、政府の近代化政策によって、村々は山野の境界画定を迫られ、山争いはさらに過熱していきました。本書は、こうした山野をめぐる争いと相互協力への努力の軌跡を、古文書を紐解きつつ詳しく述べたものです。