一橋教員の本

児相利権 : 「子ども虐待防止」の名でなされる児童相談所の人権蹂躙と国民統制

児相利権 : 「子ども虐待防止」の名でなされる児童相談所の人権蹂躙と国民統制

南出喜久治, 水岡不二雄共著
八朔社 2016年1月刊行
ISBN : 9784860140779

刊行時著者所属:
水岡不二雄(経済学研究科)

著者コメント

 近年、児童相談所の行政については、その人権侵害が全国各地で問題となっており、国連子どもの権利委員会はついに、2019年に発出した第4,5回総括所見において厳しい是正勧告を日本政府に発出した。児童相談所はもはや、本来の福祉機関ではなく、子どもたちを強行的に「社会的養護」利権へと拉致する取水口の役割を果たす「家族秘密警察」にほかならない。本書は、この児童相談所機能の転化が、戦争孤児救済のための敗戦直後の福祉行政に発生した既得権益を、臨調行革路線への対抗を契機としてネオリベラリズムの下で維持強化させようとした厚生省/厚労省の利権確保・拡大策にあるととらえる。そして、この転化を導いた歴史、転化によって生じた日本国憲法ならびに子どもの権利条約に対する現在の児童福祉法制の違反、児童相談所に群がる原発にも似た「児相ムラ」利権の実態、児童相談所による人権侵害の実態と児相被害事例、欧州で先進的なオランダの児童虐待政策との比較、そしてこの人権侵害に抗して高まる日本の児相被害者の多様な運動について詳述する。日本で初めて児相被害を法廷に訴えた弁護士と共著にて児童相談所問題についてまとめられた、初の本格的な研究書。



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