一橋教員の本

哀しき恋を味わう : ドイツ文学のなかの<ダメ男>(NHK こころをよむ)

‎哀しき恋を味わう : ドイツ文学のなかの<ダメ男>

久保哲司
NHK出版  2016年10月刊行
ISBN : 9784149109503

刊行時著者所属:
 久保哲司(社会学研究科)

著者コメント

  倉田真由美さん(一橋大学卒)の大ヒット漫画『だめんず・うぉ~か~』に登場する「だめんず」は、働かない、酒や賭けごとに溺れる、浮気をする、暴力を振るう、といった男たちでした。私がこの本で取り上げた文学作品の主人公は、そうした「ダメ男」とはかなり違います。ゲーテ『若きヴェルテルの悩み』の主人公は教養があり才能に恵まれた若者、シラー『ドン・カルロス』の主人公は国民に人気のあるスペインの皇太子、ハインリヒ・マン『ウンラート教授』の主人公はエリート校の先生、トーマス・マン『ヴェネツィアに死す』の主人公は国民的大作家、そしてヴァルザー『マリーエンバートの悲歌』の主人公は、ヨーロッパの文学界に君臨する王者ゲーテです。ビューヒナー『ヴォイツェク』の主人公(貧しい兵士)を除けば、およそダメ男ではなさそうなのですが…… 恋愛においてはどんな男性でも悩み苦しみ、ダメ男になる。そうした意味でのダメ男のこころを、ドイツ文学の作品を例に、読み解こうと試みました。また、取り上げた作品のオペラ化、映画化、バレエ化などにも触れてみました。



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