一橋教員の本

パリ論/ボードレール論集成

パリ論/ボードレール論集成

ヴァルター・ベンヤミン著 ; 浅井健二郎編訳 ; 久保哲司, 土合文夫訳
筑摩書房  2015年11月刊行
ISBN : 9784480096890

刊行時著者所属:
 久保哲司(社会学研究科)

著者コメント

 20世紀ドイツの最も独創的な思想家・批評家ヴァルター・ベンヤミンの全体像をつかめるように編集された『ベンヤミン・コレクション』(ちくま学芸文庫)は全7巻で完結しましたが、本書はそのなかからパリ論/ボードレール論関係の著作を抜き出し、いくつか新訳の文章を加えたもの。そして今回は参考図版を40点ほど入れました。ベンヤミンが言及している建築、美術作品、書物の挿し絵などが主ですが、これらによって19世紀パリのイメージが読者のまえにいっそう生き生きと現れてくることでしょう。
 パリのパサージュに象徴される近代の商品経済の世界、そこにおける人間の経験をとらえようとするベンヤミンの探求は、哲学思想・歴史・文学・芸術・建築・ファッション・経済・政治・社会・セクシュアリティなどきわめて広範な分野にかかわるものであり、先見の明に満ちていると評されています。
 最後に、「趣味」という断片から冒頭の文を引用しておきます。「商品生産が、他のあらゆる種類の生産にたいして決定的な優位を占めるようになるとともに、趣味というものが形成される。市場のための商品として製品を作ることは結果として、それらの製造のための諸条件が――しかも、搾取という形態における社会的諸条件だけでなく、技術的諸条件も――ますます人びとの知覚世界から脱落してしまうことをもたらす」(575-576ページ)。

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