一橋教員の本

ロシア人口の歴史と現在

ロシア人口の歴史と現在

雲和広
岩波書店 2014年4月刊行
ISBN : 978-4-00009922-6

刊行時著者所属:
 雲和広(経済研究所)

著者コメント

 本書の目的は、帝政ロシア、ソビエト連邦、そして新生ロシア連邦を通じて見られる幾多の特異な人口現象とその要因を、(1)先行研究の渉猟と秘匿されてきたデータの発掘、(2)マイクロデータによる分析、(3)公開されていない統計局内部資料、に依って描写・検証することである。
  ロシアの人口問題が注目を集めて久しい。ロシアでは1991年末のソ連崩壊後、1992年から直近の2012年までの約20年間に渡って、死亡数が出生数を上回る人口の自然減少が続いた。かつてソ連を構成していた諸国からのものを主とするロシアへの人口流入はそれをいくらか緩和し、2009年以降にはそのお陰でわずかな総人口の増加が見られるものの 自然減少という基調に大きな変化はない。我が国の人口も2005年以降、自然減少を見せるに至っていることは周知の事実であるが、ロシアはそれに10年以上先んじていた。
 何故そのような現象が生じたのであろうか。果たして近年の動態は社会主義崩壊ののちにのみ関わる現象なのか、それともそれは歴史的背景を有 するのか。その背景であるソ連時代の出生数・死亡数そして総人口の変動すなわち人口動態はどのようなものだったのか。ロシアの人口動態は他国 と比してどのように異なっているのか、あるいは似ているのか。ロシアは自らの人口問題に、どう立ち向かっているのであろうか。本書はこのような主題を検討しようとしているものである。



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