一橋教員の本
未来の考古学Ⅱ : 思想の達しうる限り
フレドリック・ジェイムソン著; 秦邦生, 河野真太郎, 大貫隆史訳 |
訳者コメント
アメリカ随一のマルクス主義批評家フレドリック・ジェイムソンによるSF・ユートピア論です。本書には、1970年代から2000年代にいたるジェイムソンのSF論が収められています。対象となる作家はブライアン・オールディス、アーシュラ・K・ル=グイン、フィリップ・K・ディック、キム・スタンリー・ロビンスンなど多彩ですが、本書は決して趣味的なSF論集ではなく、社会を構想し、ユートピアを想像する(そしてその不可能性と対峙する)形式としてのSF論集です。つまり、ジェイムソンはSFを限定的な「文学」から解放し、〈文学=社会批評〉として扱っていると言えるでしょう。ユートピア的なものの想像がますます困難になっている現在からの出口を探る、それ自体困難な思考の軌跡です。なお、本書は原書の第二部の翻訳であり、第一部は『未来の考古学I』(秦邦生訳、作品社、2011年)として翻訳されています。