一橋教員の本
最悪のシナリオ―― 巨大リスクにどこまで備えるのか
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最悪のシナリオ―― 巨大リスクにどこまで備えるのかキャス・サンスティーン著, 田沢恭子訳, 齊藤誠解説 |
著者コメント
本書では、壊滅的な損害が人間社会にもたらされるケース(最悪のシナリオ)の原因となるリスク因子に対して、私たちはどのように向き合うべきなのかという、大変に重たい政策イシューが取り扱われている。特に、「重大で取り返しのつかない損害のおそれがあるところでは、科学的な根拠が十分になくても、予防的措置を積極的に講じるべきである」という予防原則をめぐって、いくつかの重要な問いが発せられている。サンスティーンがこれらの問いに対して書いた答案では、やや折衷的な形であるが、予防原則と費用便益分析を緩やかに両立させながら、留保条件付きで予防原則を支持している。今般の原発事故を考察する上でも大変に示唆的な書籍である。