一橋教員の本

監獄行刑的法理

著者 : 王雲海

出版者 : 中国人民大学出版社, 2010

刊行時著者所属 : 一橋大学大学院法学研究科


 中国は、長い間、受刑者に対する行刑のことを政治活動の一環として、「労働改造」と称し、強制労働と思想教育を中心に行っていたが、1980年に展開された「改革開放」により、中国社会は「政治中国」からまず「経済中国」そしていまの「法治中国」へと変貌している。そのような変化に伴って、「労働改造」もその政治的基礎を失うようになり、どのように行刑を行うかという新たな課題が出てきた。それに対して、中国の行刑当局や行刑学者はいろいろと模索を繰り返してきているものの、いまだに確かな方向性を示すまでは至っていない。本書はこの課題に答えて、21世紀の中国の監獄行刑の方向を示そうとして書いたものである。具体的には、比較的方法を通じて、まず日本や米国の監獄行刑の経験と教訓をまとめ、次にいまの世界で流行している監獄行刑の諸理論を検討し、最後に従来の中国の監獄行刑の問題点とその合理点を析出したうえで、日本や米国での法治主義的要素と中国の「労働改造」のなかの労働や改善などの要素とを結びつけて、「法治主義的労働改造」ともいうものは21世紀の監獄行刑のあるべき姿であって、中国のこれからとるべき道であると結論付ける。

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