一橋教員の本

新版 開発金融論

 
新版 開発金融論  

新版 開発金融論

 奥田英信, 三重野文晴, 生島靖久著
日本評論社   2010年6月刊行
ISBN : 9784535555976    本体2,800円+税
 刊行時著者所属 : 奥田英信(一橋大学大学院経済学研究科)

著者コメント

 本書は、『開発金融論』(2006年4月出版)を全面改定しもので、途上国の金融システムを考える上で必要となる理論的・政策的な課題を包括的・体系的に概説することを目指している。全体の構成は、第1部「経済発展と金融セクター」、第2部「開発金融システムの基本デザイン」、第3部「開発途上国における資金調達」、第4部「開発途上国における対外ファイナンス」からなり、各章の内容は近年の世界経済の変化を踏まえて大幅に改定され、完全に書き直されたものも数章ある。
 本書は、市場メカニズムに信頼を置いており、世界経済のグローバリゼーションに対しても積極的にそのメリットを取り入れるべきだと考えている。しかし同時に、途上国経済は市場メカニズムを円滑に機能させる制度的・人的な要素に多くの障害を抱えており、市場メカニズムを如何にしたら速やかに形成・発展させるか検討することこそが、開発金融政策の中心課題であると認識している。
 このような意味で、本書の立場は教条的な市場機能への妄信でもなく、逆に反グローバリゼーションを掲げるものでもない。途上国における現実の市場機能の「実態」を知り、市場機能の「形成と強化」を進めるのに少しでも役立つ開発金融システムを見つけようというのが本書の姿勢である。



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