一橋教員の本

啓蒙運動とフランス革命 : 革命家バレールの誕生

 
啓蒙運動とフランス革命 

啓蒙運動とフランス革命 : 革命家バレールの誕生

 ヤマザキコウイチ
刀水書房   2007年2月刊行
ISBN:9784887083585   本体9,500円+税
 著者紹介:ヤマザキコウイチ

著者コメント

もう30年以上も前、大学院に入学した頃、ベルトラン・バレールという革命家がフランス革命で果たした役割に興味を持った。その一方で、アンシアン=レジーム末期の人々はどのような書物を読み、どのようなことを考えながらフランス革命を迎えたのか、革命前の思想ないしは教養の形成とフランス革命において取った態度にはどのような関連があるのか、という問題にも惹かれた。その両者がひとつになって、革命前のバレールがどのような思想形成を行なっていたかを明らかにするとともに、彼が生きていたトゥルーズの地方文化人、とりわけバレールと同じ高等法院弁護士がどのような知的活動を行なっていたかを解明して、バレールの独自性や彼と他の弁護士との共通性を示すというテーマに取り組むことになった。本書はその成果報告であり、第一部が革命前のバレールの思想形成を、第二部がトゥルーズの地方アカデミーの状況と三人の高等法院弁護士の知的活動を扱っている。また補論において関連するテーマにつき若干の補足を行なった。  詳細は本書を読んでいただく以外にないが、「啓蒙思想」とは区別した「啓蒙運動」の概念の提唱、若いエリート弁護士が革命に参加する理由の解明、『百科全書』の思想史的位置づけについての新たな見解の提示など、学界に私なりの問題提起を行なったつもりである。 取り上げた人物の一人一人に感情移入し、それなりに共感しながら、楽しんで書いた。弁護士以外の読書人についてもある程度は調査が進んでいるのだが、本書に織り込むことはできなかった。そちらの人物を中心にして、同じテーマでもう一冊本を書ければいいと思っている。



Share On