一橋教員の本

思想学事始め : 戦後社会科学形成史の一断面

 
思想学事始め 

思想学事始め : 戦後社会科学形成史の一断面

 田中浩
未來社   2006年10月刊行
ISBN:4624301048   本体3,500円+税
 著者紹介:一橋大学名誉教授(法学博士)

著者コメント

ホッブズ、カール・シュミット、長谷川如是閑を中心としてみずからの学問形成を通じて戦後日本の社会科学形成へ深く関与した 一政治学者の自伝的回顧。丸山眞男氏をはじめとする一〇〇〇名近いさまざまな学者・研究者たちとの交流、研究会、著者の幅広い知的交友から透けて見える知的ネットワークの俯瞰図。本書を読むと著者が幼年時代を過ごした植民地生活の経験、日本帰国後の戦時中の佐賀中学から陸軍経理学校に進学した事情、敗戦後旧制高校に転学し、「民主改革」の変動期に直面し思想研究の重要性を痛感し大学では哲学研究を目指すようになった知的変遷の風景が見てとれる。さらに大学卒業後著者は六〇年代の安保闘争、七〇年代の大学闘争の最只中にかかわるなかで民主主義・自由主義・社会主義・ファシズムなどを研究するためにホッブズ、シュミット、如是閑などの思想史研究、戦前・戦後の日本政治思想史、戦後世界政治史へと研究を拡大していったさまが赤裸々に語られている。これから社会科学を研究する人たちの必読書といえる。



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