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一橋大学と英国ケンブリッジ大学の日英共同プロジェクトが、UKRIとJSTの国際共同公募に採択されました

2020年1月30日、 一橋大学と英国ケンブリッジ大学は、 「法制度と人工知能に関する研究」を共同で実施することを発表します。

日本側の研究代表者は一橋大学大学院法学研究科の角田美穂子教授、英国側の研究代表者はケンブリッジ大学ビジネス研究所・法学部のサイモン・ディーキン教授で、この日英共同プロジェクトは英国研究・イノベーション機構(UKRI)と科学技術振興機構(JST)の国際共同公募事業で採択された受託研究事業のひとつです。

JSTウェブサイト: https://www.jst.go.jp/pr/info/info1416/index.html

本プロジェクトは、法制度のコアをなす「司法判断」にフォーカスし、そのデジタル化・自動化の可能性とリスク、限界を検討します。研究成果として、①法制度へのAI導入を促進する要素技術と法的推論モデルの開発、②それを実装した場合の未来シナリオの作成、③紛争解決におけるAI利用倫理ガイドライン案の策定を目指すものです。この研究プロジェクトは、UKRIとJSTの共同支援により実施されます。

一橋大学からは、角田美穂子教授、山本和彦教授、竹下啓介教授(以上、法学研究科)、鷲田祐一教授及び野間幹晴教授(以上、経営管理研究科)が参加し、ケンブリッジ大学からは、サイモン・ディーキン教授(ビジネス研究所)、ジョン・クロウクロフト教授(コンピューター・ラボ)、フェリックス・シュテフェック上級講師(法学部)、ジャット・シン博士(コンピューター・ラボ、トラスト・アンド・テクノロジー・イニシアティヴ)、ジェニファー・コッベ博士(コンピューター・ラボ)、クリストファー・マルコウ博士(法学部)が参加します。

研究者よりコメント:

角田美穂子教授(一橋大学)日本が近代国家として歩み始めて以来、西欧諸国に学びながら法と法制度の発展に高い関心が寄せられてきました。日本は産業技術の分野でも高度な技術力を誇ってきました。しかし今、日本のLegal Techはまだ黎明期にあり、司法のIT化には裁判資料のデジタル化の遅れをふくめ様々なハードルが指摘されています。今回、パートナーであるケンブリッジ大学の方々と一緒に、ハードルを乗り越え、新しい地平を拓く手がかりを求めて冒険に乗り出すことに興奮しています。
サイモン・ディーキン教授(ケンブリッジ大学)私たちのプロジェクトは、法のコンピューター化は可能か?という核心的な疑問に迫るものです。これは時宜を得た、重要な問いです。現在、Legal Techの領域では数多くのスタートアップや既存の企業が法や司法プロセスの一部を自動化するソフトウェアの開発にしのぎを削っています。私たちは、法の自動化は法制度の自律性や実効性にとって何を意味するのかといった基本的な問題にも取り組む予定です。このような研究をパートナーである一橋大学の方々と一緒にできることは大変喜ばしいことで、私たちの研究が両国における人工知能や法律の議論の進展に貢献できれば幸いです。
フェリックス・シュテフェック上級講師(ケンブリッジ大学)私たちは、人工知能はいかに紛争解決を改善できるかだけではなく、倫理的な問題やその限界についても探求し、紛争解決における人工知能利用のあり方に関するガイドとして提言を行うことを予定しています。

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