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附属図書館・社会科学古典資料センターが書籍保存についてのシンポジウムを開催しました

 2017年2月15日(水)、紙資料の保存に焦点をあてたシンポジウム「書物の構成要素としての紙について~本の分析学」を開催しました。
 一橋大学附属図書館・社会科学古典資料センターは、平成28年度~平成30年度の予定で文部科学省共通政策課題「文化的・学術的な資料等の保存等」概算事業として採択された「西洋古典資料の保存に関する拠点およびネットワーク形成事業」を行っています。本シンポジウムはこの事業の一環として、国立大学図書館協会東京地区協会の後援を得て、行われたものです。

 プログラムは以下のとおりでした。
開会挨拶 中野聡(一橋大学副学長)。趣旨説明 山部俊文(一橋大学附属図書館長・社会科学古典資料センター長)。講演「洋書の紙質と本の寿命について」 吉川也志保(一橋大学言語社会研究科特別研究員)。講演「洋紙の原材料を観察する」 宍倉佐敏(女子美術大学特別招聘教授)。講演「『モノ』が持つ情報とその保全~科学・技術の限界~」 加藤雅人(東京文化財研究所文化遺産国際センター国際情報研究室長)。全体討論および質疑応答 コーディネーター・江夏由樹(帝京大学教授)。閉会挨拶 屋敷二郎(一橋大学社会科学古典資料センター教授)。

 会場となった一橋大学インテリジェントホールは、国からの補助金のほか、一橋大学の同窓会である如水会から組織創立百周年記念募金の支援を得て、2年前に落成しました。
 保存科学の研究者や繊維分析の実践家による三者三様の講演であり、デジタル化の趨勢の中で紙資料の保存の可能性必要性を科学的に検討しようという企画でしたが、当日は、全国の50近い機関から100人を超える参加者が集まり、講演を熱心に聴講していました。講演後は多数の質疑が寄せられ、活気あるシンポジウムとなりました。

 アンケートでは「科学的な分析の話が新鮮だった」、「デジタル保存の限界を知ることができた」、「保存の必要性を理解してもらうための議論が求められる」等の意見も寄せられました。一橋大学附属図書館・社会科学古典資料センターは、今後もさまざまな機会に、学術資料の保存の意義を啓発できるよう努めていく予定です。
 

開会挨拶を行う中野聡・一橋大学副学長

開会挨拶を行う中野聡・一橋大学副学長

講師による全体討論および質疑応答の模様。右端がコーディネーターの江夏由樹・帝京大学教授・一橋大学名誉教授

講師による全体討論および質疑応答の模様

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