福田徳三による書評・批評
- 福田徳三
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書名(五十音順)/著者 | 掲載書・雑誌(年月日) | 備考 (書評の一部、要点など) |
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『欧州現代政治及学説論集』/小野塚喜平次 博文館 T5.7 | 「経済論叢」3(3): T5.9.1 「小野塚、牧野両博士ノ新著」 p.118-128; 420-433 | 書評 (博士の『現代欧州の憲政』『欧州現代立憲政治一班』の続篇とも見る可きもの、民主的で社会政策に重きを置く憲法政治本位の学説。読者の思考を促す) |
『海上保険』/村瀬春雄 | 「商業世界」3: M34.2.1 p.19-23 |
書評・新刊紹介 (欧米名家の大作に接する如し) |
『価値論』/ピールソン著 河上肇・河田嗣郎解説 |
「国民経済雑誌」11(2): M44.8 p.160-167 | 新刊紹介 (邦訳が出たのは喜ばしいが、省略した部分ありと英文と比較して批判) |
『貨幣概論』/山崎覚次郎 日本評論社 S4.4 | 「改造」11(7): S4.7.1 「新刊書読余録」 p.236 | 書評 (著者の学究の総勘定、貨幣理論の金科玉条) |
『貨幣銀行問題一斑』/山崎覚次郎 有斐閣 [T7] | 「改造」12(1):S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.148 | 書評 (永く学界に生くべきもの) |
*『貨幣ト価値』/左右田喜一郎 | 「国民経済雑誌」7(3): M42.9 p.130-141 | * 外国人が書いたドイツ語とは思えないくらい流暢明快と評したが、内容については論争に発展 |
『官庁刊行図書目録』 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.134 | 紹介 (健なる発達を続けている) |
『旧加賀藩地割制度』/栃内学士 | 「国民経済雑誌」12(3): M45.3 p.73-78 | 雑感 (独創的研究を祝し札幌研究室に対し健羨を表す、など。附言で福田と新渡戸博士についての誤りを訂正 |
『九朝律考』/程樹徳 上海商務印書館) | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.145-146 | 紹介 (日本経済史、日本法制史の研究を志す者は一読すべし) |
『金解禁: 全日本に叫ぶ』/井上準之助 先進社 S4 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.146-147 | 書評 (当路の責任者として街頭に出て国民に訴ふると云ふ文明的態度を称す) |
『金解禁問題研究』/松崎壽 文雅堂 S4.10 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.147,151-152 | 書評 (一般的読物としては最適、新平価解禁論に対する反批評は要領を得たもの) |
『近世史』/内田銀蔵 | 「国民経済雑誌」 8(3): M43.3 p.155-165 | 瀧本の新著紹介の中で言及。徳川と欧州の封建制度との比較では内田説も瀧本に近く、福田は少数異論派か、など |
『金本位制と中央銀行政策』/田中金司 宝文館 S4 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.147-149 | 書評 (文献渉獵上、該博、正確、文は快達明晰) |
「経済史研究」(月刊) 日本評論社 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.134 | 書評 (毎号新刊書目録を掲載。経済史研究上画期的意義、文献学上指導的仕事) |
『経済法則ノ論理的性質』 (独文) /左右田喜一郎 ストットガルト エンケ書房 1911 | 「国民経済雑誌」 11(3): M44.9 p.163-170 | 新刊批評 (旧著に比し穏健で読み易いが、経済法則については見解を異にする点多々あり) |
『経済法律文献目録』/神戸高商研究所編 宝文館 S2 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.135 | 書評 (経済法律両学に於いては他の社会的学問の何れにも勝りて特恵) |
『刑法と社会思潮』/牧野英一 有斐閣書房 T5.6 (刑事学叢書第1編) | 「経済論叢」3(3): T5.9.1 「小野塚、牧野両博士ノ新著」 p.126-131; 428-433 | 書評 (ローマ、トリノ、ベルリン、パリ、ロンドンからの通信文の集成で刑法門外漢にも趣味津々) |
『皇室社会新政』/鈴木梅四郎 実生活出版部 T7 | 「実生活」3(20): T7.5 「社会政策の二派」 | 書評 (著者の主張は福田とぼぼ同じ、歴史記述に望蜀の感なきに非ず、廉価版の発行を希望) |
『校訂 古語拾遺新註』/池邊眞榛 大岡山書店 S3 | 「読売新聞」18567: S3.11.6 p.7 | *大礼記念図書館備えに推薦 |
『購買力平価説』/高瀬胖 T12.8 (横浜銀行調査報告45号) | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.148 | *福田は教科書でただ紹介、山崎博士著『若干の貨幣問題』の本書批評の先見性に敬服 |
『稿本日本金融史論』/瀧澤直七著 | 「国民経済雑誌」 13(6): T1.1 p.151-162 | 新刊紹介 (日清戦役以後の金融状態が研究の本体) |
『国際経済現象の研究』/勝田貞次 大同書院 S2.8 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.147-148 | 書評 (全体を組み立てる構想に長点あり) |
「国民経済雑誌」上の「最近の経済学界」 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.134-135 | 書評 (学界無二の宝、経済学界を指導) |
『国民経済の立直しか破壊か』/山崎靖純 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.1447,152 | 書評 (現内閣の解禁策を非とする立場。世道や学問を益する) |
『国民経済の立直しと金解禁、附録:金解禁問題の解説』/井上準之助著、勝正憲編 千倉書房 S4.9 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.146-147 | 書評 (『全日本に叫ぶ』との両者をあげるのは、当路の責任者として街頭に出て国民に訴ふるという態度を称せんがため) |
『債権総論』上/富井政章 有斐閣 (『民法原論』第3巻) | 「改造」11(7): S4.7.1 「新刊書読余録」 p.233-234 | 書評 (力作、自分の向後の出立点としたい書) |
「サヴェート連邦の社会政策」/田中九一(改造社『経済学全集』第18巻) | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.139 | 書評 (『露亜経済調査叢書』 『労農露国研究叢書』 以外に有益な材料を提供) |
『支那に於ける工業化の範囲と効果』/何教授 天津 1929.10 (英文) | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.146 | 紹介 (支那工業化の趨勢を概説した有益なる研究論文) |
『若干の貨幣問題』/山崎覚次郎 有斐閣 S2.3 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.147-148 | 書評 (永く学界に生くべきもの) |
『新契約聖書』永井直治訳 挺身舎 | 「読売新聞」18567: S3.11.6 p.7 | *この年の新刊名著と認める |
『世界経済年報』/ヴァルガ 経済批判会訳 叢文閣 第1-5冊 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.140-142 | 書評 (鋭利なる分析、深刻なる批判。何れの経済研究室、経済調査所にも必備不可欠) |
『総選挙読本』/藤沢利喜太郎 岩波書店 | 「改造」11(7): S4.7.1 「新刊書読余録」p.230-233 | 書評 (単なる統計研究のみに止まらず、選挙制度について極めて分りよく而も精密) |
『ソウェート聨邦経済十年史』/クルヂヂャーノフスキー著 満鉄庶務部調査課 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.137-138 | 書評 (比較的公平に労農国経済の実情を記述) |
『ソヴエート聨邦総覧』/内山彼得訳 満鉄庶務部調査課 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.137 | 書評 (ソ連邦刊行物を見る者が先づ始めに一読して置かねばならぬもの) |
『祖国を顧みて』/河上肇 実業之日本社 T4.12.5 | 「経済論叢」3(3): T5.9.1 「小野塚、牧野両博士ノ新著」 p.126,131; 428,433 | 寸評 (直観的の一産物で、留学中の見聞を博士独特の美文で表わした) |
『台湾文化誌』/伊能嘉矩 刀江書院 | 「読売新聞」18567:S3.11.6 p.7 | *この年の新刊名著と認める |
『通貨問題としての金解禁』/深井英五 日本評論社 S4.10 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.147,149-150 | 書評 (同氏の名著『通貨調節論』の諺解とも見るべきもの) |
「内務省納本月報」(旧:ブック・マン」) | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.134 | 書評 (読書子必備) |
『奈良町時代民政経済の数的研究』/澤田吾一 冨山房 S2.9 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.142-143 | 書評 (綿密周到な文書考証と数理的吟味、心血の結晶) |
「南開統計週報」/南開大学社会経済研究委員会編 天津法文図書館 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.146 | 紹介 (研究者、実務家の参考として必備) |
『日本経済学説ノ要領』/瀧本誠一 | 「国民経済雑誌」 8(3): M43.3 p.155-165 | 批評 (倫理と経済の関係に対する現今の経済学、社会政策の見地と徳川時代の見地との根本的溝渠を明論していない、など) |
『日本経済史文献』/本庄栄治郎 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.134 | 書評 (読書子必備) |
『日本交通史の研究』/本庄栄治郎編 改造社 S4.9 | 「改造」12(1):S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.134 | 書評 (『日本経済史文献』の補遺掲載) |
『日本国体論』/永井亨 日本評論社 S3 | 「改造」11(7): S4.7.1 「新刊書読余録」p.234-235 | 書評 (極めて大胆ながら極めて穏健な議論を展開) |
『日本社会主義文献』第1輯:世界大戦(大正三年)に到る/大原社会問題研究所 *内藤赳夫執筆、森戸辰男指導 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.135-136 | 書評 (単に文献目録の書として座右必備であるばかりでなく社会主義思想発達史として趣味津々として盡きず) |
『日本人口論』/永井亨 巌南堂書店 S4.1 | 「改造」11(7): S4.7.1 「新刊書読余録」p.235 | 書評 (考えを異にするが、人口問題の肯綮に触れた著作) |
『日本民族論』/永井亨 日本評論社 S3 | 「改造」11(7): S4.7.1 「新刊書読余録」p.235 | 書評 (国体論より劣るが日本人口論のプロローグと見るべきか) |
『プラトーン全集』/木村鷹太郎訳 富山房 | 「読売新聞」18567:S3.11.6 p.7 | *大礼記念図書館備えに推薦 |
『法政経済社会論文総覧』/天野敬太郎 刀江書院 S2 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.135 | 書評 (経済法律両学に於いては他の社会的学問の何れにも勝りて特恵) |
「邦訳マルクス・エンゲルス文献」/大原社会問題研究所雑誌附載 *内藤赳夫執筆、森戸辰男指導 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.135-136 | 書評 (邦訳を細大洩らさず網羅。翻訳の底本まで示す周到さはモスクワのマルクス・エンゲルス研究所のアルヒーフに比肩) |
『法律進化論』第2巻/穂積陳重 岩波書店 T13 | 「読売新聞」18354: S3.4.7 p.4 | 篤実周到、古聖人の書に接する思いがある、自己反省の糧としても貴い |
『法律進化論』第3冊/穂積陳重 岩波書店 S2 | 「改造」11(8): S4.8, 11(10): S4.10 「穂積・宮崎亮博士遺著の新刊」 p.72-82, p.212-218 | 書評 (著者畢生の研究の集大成、法律動学に関する抱負を披露せんとする規模広汎の大著述、など) |
『法律進化論叢』第1冊:神権説と民約説/穂積陳重 岩波書店 S3.3.15 | 同上 | 第3冊にあわせて評 |
『法律進化論叢』第2冊:祭祀及禮と法律/穂積陳重 同 S3.7.20 | 同上 | 同上 |
『法律進化論叢』第3冊:慣習と法律/穂積陳重 同 S4.6.5 | 同上 | 同上 |
『マルクシズムとボルシェヴィズム』/小泉信三 千倉書房 S4 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.139 | 書評 (ボルシェヴィズムに対する理論的吟味は著者独特の鋭利なる考察に成る必読のものであるが、活事実としての其のものに対する態度はジャーナリストの水準を一歩をだも脱出して居らぬ) |
『マルクス経済学』/高畠素之 日本評論社 S4.8 (『現代経済学全集』第4巻) | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.143-145 | 書評 (高畠氏等身の著作中傑作の一) |
『万葉集新考』/井上通泰 国民図書 | 「読売新聞」18567:S3.11.6 p.7 | *この年の新刊名著と認める |
『宮崎先生法制史論集』/宮崎道三郎著 中田薫編 岩波書店 S4 | 「改造」11(8): S4.8, 11(10): S4.10 「穂積・宮崎亮博士遺著の新刊」 p.72, p.218-222 | 書評 (真理を見出さんため血肉を筆に託して書き残し、後の来る者に進出の方針を示した、など) |
『リカルドウの価値論及びその批判史』/堀経夫 岩波書店 S4.4 | 「改造」11(7): S4.7.1 「新刊書読余録」 p.235-236 | 書評 (周到細密に文献を商量考証し、リカルドと批判者との著書に肉薄、世界の学界に出したい) |
『六国史』大阪朝日新聞社刊 | 「読売新聞」18567:S3.11.6 p.7 | *大礼記念図書館備えに推薦 |
『露亜経済調査叢書』/満鉄庶務部調査課編 大阪毎日新聞社 T5~ | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.136-139 | 書評 (邦文は用語精確、達意の文、地図も鮮明。豊富な材料) |
『労農露国研究叢書』/満鉄庶務部調査課編 大阪毎日新聞社 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.136-139 | 書評 (労農露国を知るには本叢書と上記の叢書を度外に置くことは許されない) |
*高島佐一郎氏の諸著作 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.149 | *山崎覚次郎、田中金司両氏の長短所を合算、二分の趣を示す |
*高橋亀吉氏の諸著作 | 「改造」12(1): S5.1 「新刊書鳥瞰記」 p.141, 148 | *一応は目を通すべき |
- 「私の新刊紹介は、如何なる尊貴の方々、如何なる名望高き方々の御命令でも、自分の好まざる書については、一言もしない。私の紹介には、誤謬は山の如くあろう。誤解も決してないとは云へない。然し私は、自分の読んだものの中、真に自身としては、責任を負ひ得ると信ずるものだけしか、推薦しない。」
- (S4.12.11) (「新刊書鳥瞰記」余白を借りる追記:「改造」12(1): S5.1.1 p.152)
- *ここでは、同文館 『経済学全集』 刊行後 (1928-1930: S3-S5) に、書評・紹介記事としてまとまって発表された新刊書評・紹介記事を対象とした
- *福田は初期の段階から文献の重要性を認識し、1899(M32)に 「商業教育ニ関スル著書一覧」 を高商同窓会々誌に寄せるなどし、「明治四十四年度卒業生紀念寄附書籍に就て」 (「一橋会雑誌」83:T1.11、「東京高等商業学校同窓会々誌」85: T1.12) においては解題もほどこしている。また、マルクスに関する学説研究の学界展望として 「社会主義政策の栞」 (「慶応義塾学報」111-112:M39.11-12、『全集』5下5の10収録)、さらにレーニンの 『国家と革命』 の詳細な紹介と研究、および「ボルシェヴィズム研究文献小録」 (「国民経済雑誌」T11.1) を収録した 『ボルシェヴィズム研究』 (T11.9) もあげられる各著作において研究や学習のための参考文献紹介を掲載しており、『全集』に収録した著作について、言及した図書、論文は和書、●●洋書●●に及ぶ<
- *福田の読書量は並々ならぬものがあり、関係文献の商量に力を注いで来た。その蒐集および福田への献呈本は「文庫」を形成するに到った