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私にとっての科研費とは?

  • イノベーション研究センター 特任講師木村 めぐみ

2016年春号vol.50 掲載

木村めぐみ

研究課題名

表現する組織:
イノベーションの実現における芸術・人文学的知識の役割についての研究

自分の興味・関心を研究という領域に発展させるためには、情熱と労力、そして研究活動を支える資金が必要になります。その意味で科研費への応募は、研究活動への第一歩でした。若手研究者である私にとって、科研費への挑戦は資金獲得以上の重要な意味も持っていました。自分の研究アイデアと向き合い、成果を確認するきっかけになったからです。研究者であれば、自分の研究が面白いと感じるのは大前提、当たり前のことです。しかし、そうした思いが強すぎると、独りよがりな研究になってしまいます。そこに妥当性、必要性というフィルターをかけてくれるのが、研究者によるピア・レビューという検証プロセスです。科研費は研究アイデアが専門家に認められてはじめて、採択に至ります。その門は決して広くありません*。それだけに採択された時は、嬉しくも身が引き締まる思いでした。科研費への挑戦は、自立的な研究者になるためのキャリアパスであると、私はとらえています。
私は現在の職務に就く直前まで、大学院生として研究活動を行っていました。ほかの大学と単純に比較することはできませんが、一橋大学の研究環境は、とても優れていると思います。最も印象的だったのは、一橋大学には研究大学としての文化や風土が根付いていることです。先輩研究者の方々の研究と真摯に向き合う姿に、いつも感銘と刺激を受けています。2点目は、一橋大学は研究者にとっても優れた学習機関だということです。とりわけ私の研究は、芸術と経済学・経営学との融合領域です。専門外である経済や経営については、多くの先生方に教えていただきながら研究を進めています。恵まれた研究環境のもと、現在の研究を深めていくことはもちろん、発展的な研究にもどんどん挑戦していきたいと思います。(談)

*平成27年度の科学研究費助成事業の新規採択率は26.5%(文部科学省公表資料より)

(2016年4月 掲載)