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サポート制度の充実した外国人留学生受け入れ体制が一橋大学のグローバル化を加速させる

2015年秋号vol.48 掲載

世界各国から、優秀な学生を留学生として受け入れている一橋大学。キャンパスでは数多くの留学生たちが、長期に学ぶ正規課程の学部生・大学院生として研究に取り組み、また短期の交流学生として授業やゼミに参加するなど、さまざまな留学スタイルで日々学んでいる。ここでは、一橋大学の留学生受け入れ状況と留学生が受けられるサポート制度について解説し、実際に留学生として日本でキャンパスライフを送る学生たちの声を紹介する。

国内の大学でトップクラスの外国人留学生の在学割合

図1:国・地域別外国人留学生数の推移(5年間)

各年5月1日現在(人)

区分2011年2012年2013年2014年2015年
中国 197 233 256 287 300
韓国 192 195 192 191 173
台湾 28 37 38 45 56
ベトナム 25 24 25 29 32
モンゴル 32 28 27 25 21
その他 149 160 154 150 150
合計 623 677 689 727 732

図2:国・地域別外国人留学生数の推移(5年間)

2015年5月1日現在

円グラフ(学部)

円グラフ(大学院)

円グラフ(総数)

学部から大学院まで、一橋大学には数多くの外国人留学生が在学している。その出身国はさまざまで、アジアを中心とした全52の国・地域から、国際色豊かな学生たちが来日している(図1)。その受け入れ窓口の国際課がある東キャンパス国際研究館の1Fラウンジでは、留学生同士が交流する風景を目にすることができる。
2015年5月現在のデータを見ると、一橋大学の外国人留学生数は、学部で264人、大学院で468人、計732人となっている。毎年、ゆるやかながら着実に増加している状況にあるが、この数字だけを見ると、国内の他大学と比較して決して多いとはいえない。しかしながら、全体の学生に占める留学生の割合はそれぞれ5.9%(学部)、24.3%(大学院)であり、全体の11.5%が留学生という水準となっている(図2)。後述の英語による授業科目や日本語教育等をはじめとするサポート体制の充実により、短期及び中長期の受け入れ留学生数を増加させ、内なるグローバル化を促進したいというのが一橋大学の考えだ。
留学生の種類は、長期の正規課程である「学部留学生」「大学院留学生」、交換留学生の「交流学生」、文部科学省国費奨学金を受給する「日本語・日本文化研修留学生」(学部レベル)、及び外国人研究生(大学院レベル)に大別されている。交流学生は、一橋大学が交流協定を結ぶ大学から交換留学生としての推薦を受けた学生が対象となるが、その人数は21人から71人へと、この5年間で3倍以上に急増している(図3)。これらの外国人留学生が、さまざまな留学目的を持って来日し、各学部・各研究科に所属しながら、学習や研究に取り組んでいるのである(図4)。

図3:課程別外国人留学生数の推移(5年間)

各年5月1日現在(人)

区分2011年2012年2013年2014年2015年
学部正規生 178 188 195 189 193
交流学生等 21 46 51 65 71
大学院修士 156 192 204 215 219
専門職 105 101 96 96 91
博士 124 112 118 116 112
研究生等 39 38 25 46 46
合計 623 677 689 727 732

図4:所属別外国人留学生数の推移(5年間)

各年5月1日現在(人)

区分2011年2012年2013年2014年2015年
商学部 92 97 105 107 103
経済学部 44 56 51 52 51
法学部 27 35 39 37 40
社会学部 36 46 51 58 70
商学研究科 74 91 106 112 121
経済学研究科 70 74 78 97 91
法学研究科 33 36 29 30 31
社会学研究科 58 57 46 44 46
言語社会研究科 81 80 83 88 83
国際企業戦略研究科 55 57 56 54 52
国際・公共政策教育部 53 48 45 48 44
合計 623 677 689 727 732

備考:学部交流学生等には、日本語・日本文化研修留学生を含む。大学院研究生等には、交流学生を含む。

身近なキャンパスでの交流がグローバルな環境をつくる

ページイメージ写真1

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一橋大学の外国人留学生比率を高めている一つの要因が、独自の教育プログラムであるHGP(HitotsubashiUniversity Global EducationProgram)の存在だ。学士課程から英語による授業科目を設定するHGPの取り組みにより、日本語力の高くない海外の学生にも一橋大学で学ぶチャンスを広げ、その結果として海外の大学と交流協定を結びやすい環境を実現したのである。同時に、国際教育センターによる日本語教育を実施。その教育レベルの高さは海外の大学からも評価されており、留学生たちの日本語力の向上につながっているということだ。英語で行われる授業があることで交換留学が可能になり、一橋大学の充実したカリキュラムを受講しながら日本の文化や日本語を学ぶことができる。そのHGPの効果が、交流学生の受け入れ数増加にも結び付いているのである。
また、HGPの授業科目のほとんどは、所属学部や日本人学生・留学生を問わずすべての学生が履修できるため、このプログラムは交流学生と日本人学生との交流を深める機会をも生み出している。受け入れる側の日本人学生は、日本にいながらにして、世界各国から来る留学生たちとキャンパス内でコミュニケーションを重ね、国際的な交流を通して幅広い視野を身につけることができる。交流学生にとっても、そしてその留学生を迎える日本人学生にとっても、双方に良い効果をもたらしているのがこのHGPというプログラムなのである。
学習意欲の高い世界中の留学生が集まり、留学生同士の交流、日本人学生と留学生の交流が、身近な場所で生まれる。一橋大学の留学制度は、そんなグローバルな環境をキャンパス内につくり出している。

外国人留学生に向けた幅広いサポート制度

一橋大学では、海外からの留学生に対するさまざまな支援体制を整えている。カリキュラム履修や学業の面に限らず、学外での生活面にいたるまでの、幅広いサポート体制の一部をここで紹介する。

日本語教育

日本語の教育に関して、初級前半から上級後半までの六つのレベルを設定した日本語の授業を開講。日本語読解や文章表現、口頭表現などのカリキュラムにより、留学生の日本語のレベルアップをサポートする。


個人チューター制度

日本人学生、先輩留学生が、外国人留学生の学習と研究を個別にサポートし、入学後1年間、日本語での履修を支援する制度。修士・博士論文を書くための論文チューター制度も利用できる。


住居支援

外国人留学生は、国立市の国際交流会館と景明館、小平市の国際学生宿舎の三つの学生宿舎を利用できる。月額の家賃は部屋の種類で異なるが、国際交流会館は約2万~2万5000円、景明館は約4万~5万円、国際学生宿舎は約1万~2万円となっている。


キャリアサポート

日本における就職活動を支援するキャリア支援室(西キャンパス本館)では、セミナー開催やインターンシップの情報公開のほか、就職活動に関する相談に随時応じている。


奨学金制度と授業料免除制度

奨学金の給付、授業料免除といった制度で、外国人留学生は経済的にサポートを受けられる。「授業料免除(全額免除/半額免除)」、「国費外国人留学生奨学金」、「文部科学省外国人留学生学習奨励費」、「一橋大学基金外国人留学生奨学金」のほか民間財団による奨学金があり、各種奨学金応募の案内や申請支援を行っている。右図のように、一橋大学では授業料免除申請者のうち約9割の留学生が授業料免除を受けている。

2015年度私費留学生の授業料免除申請者の免除割合

2015年度私費留学生の授業料免除申請者の免除割合

(2015年10月 掲載)