政治信頼の神経基盤に関する研究
有権者が選挙を通じて政治家を選出する代議制は、候補者や選挙制度など政治への信頼なしには成立し得ない。近年の政治信頼研究では、政治への信頼は一般信頼(選挙制度など主要な政治制度への信頼)と特定信頼(政治家など特定の政治アクターへの信頼)に分かれるという二次元仮説が提唱されている。この説は、例えば「トランプ支持者は連邦議会を襲撃するなど議会や選挙制度への信頼は著しく低い(=一般信頼は低い)が、大統領であったトランプ元大統領への信頼は非常に高い(=特定信頼は高い)」といった現象に説明を与える点で注目を集めている。本研究は、機能的脳イメージング(fMRI)を用いて政治信頼の二次元仮説を神経政治学(Neuropolitics)の視点から検証する。 有権者が政治家や制度を信頼するメカニズムを神経科学的に解明することで、「国民の信頼に足る統治体制の整備」と「幅広い政治参加を促進する開かれた社会の実現」に役立てたいと考えている。