Does Raising the Minimum Marriage Age Improve Late-Life Mental Health? Evidence from China’s 1981 Marriage Law
本研究は、児童婚の長期的な影響、特に高齢期のメンタルヘルスへの影響に着目する。先行研究では、児童婚が教育や所得、健康などに与える短期・中期的影響は多く分析されてきたが、当事者が高齢になってからの心理的影響については十分に明らかにされていない。近年、世界的に高齢化が進むなか、若年期の逆境的経験が後年の健康に与える影響を検証することは、社会的にも重要な課題となっている。
本研究では、中国の1981年婚姻法による最低結婚年齢の引き上げを自然実験として用い、その影響を中国高齢者追跡調査(CHARLS)データに基づいて分析する。法改正が結婚年齢やその後の生活にどのような変化をもたらし、それが高齢期のメンタルヘルスにどのように関連するのかを明らかにすることを目指す。
本研究は、開発経済学、ジェンダー、公衆衛生の分野を横断するものであり、児童婚防止政策や高齢女性支援策の設計に新たな示唆を提供することが期待される。