監督義務者責任の検討を通した第三者との関係における親権者像の解明
本研究では、第三者との関係で、親権者がいかなる根拠に基づきいかなる責任を負うのかを解明することを目指す。
親権者は民法714条1項に基づき、責任能力を有さない子の行為によって損害を受けた第三者に対して損害賠償責任を負うとされる。不法行為学説において、この責任は厳格なものであるとの解釈論が展開されてきた。一方で、近年の家族法改正においては、監護教育の方法に関して親に過度な要求をすべきではないと指摘されている。
このように、「親権者」について、領域によって見方が統一されていないと思われる状態にあり、民法の想定する親権者像を明らかにすることによって、統一的な解釈の基盤を整えることが必要であると思われる。