社会主義国家における地方裁判所と地方政府との関係
本研究は、中国の司法と政治の関係において近年に生じている変化の原因及び過程の究明を試みるものである。より具体的には、地方裁判所と地方政府の権力関係の変化、すなわち地方の政治決定過程における司法の影響力の増加の背景にある政治的・社会的メカニズムを明らかにすることを目的とする。
本研究は政治学と法社会学の学際研究であるため、その研究手法として①事例研究、②フィールドワーク、③文献調査を採用する。また、アプローチとして歴史制度論と法実証的法学アプローチを用いて、地方裁判所が財政権と人事決定権の変化により、地方政治の決定過程においてどのようにその役割を変化させてきたのか、その変化の原因が何か、中央地方関係がそれによってどうのように変化してきたのかを分析する。
研究意義として、社会主義国家体制や中央地方関係といった、従来から学術界の中心に位置してきたテーマに、新しい一石(司法から見る)を投じることを期待する。