「学力」観の変化による英語教育カリキュラムの再編成
2000年代以降、英語教育政策の議論の蓄積があるが、「学力」観との関連は十分に検討されていない。近年の教育政策では、英語と国語の相乗効果で「言語能力」を育成することが推進されているが、一部の学校に限られ、教材や評価方法はなく、議論も不十分である。 2019年と2021年に行った英語教員たちに聞き取り調査では、英語の内容増加や難化に追われ、英語と国語の連携による「学力」育成には現実的に取り組まれていないことが分かった。以上から、本研究は「言語能力」の背景にある「学力」観の変化と、それが英語と国語の教科間関係に与えてきた影響を1980年後期〜2009年までの政策文書の分析で明らかにする。そのうえで、学校教育課程における英語と国語の連携モデルの実態とその課題を示し、教育格差や英語力の二極化の問題に目を向けながら、実践におけるカリキュラムの組織化の基盤となるようなモデルを提示する。