オルタナティブな教育機関を経由した進路形成者の社会的移行に関する研究
2004年に文部科学省の不登校支援目標が「社会的自立」に転換したことで、不登校は学校に「行く/行かない」の問題から、フリースクール等を経由して進路を切り開く形へと変化した。これらの教育機関は不登校生徒に基礎学力や学校生活の経験を提供するが、本人の進路選択の幅を広げるのか、それとも分化させるのかは明らかにされていない。
教育社会学では、入学した学校種によって進路選択が限定される「トラッキング現象」が知られている。山田(2013)は不登校によるトラッキングを「不登校トラック」として示唆するが、その内実は不明である。 そこで本研究は、不登校経験後にオルタナティブな教育機関を経て、高卒資格を取得する過程を「オルタナティブな教育機関を経由した進路形成」とし、当事者へのインタビューを通じて進路選択と自立の過程を明らかにする。研究方法は、ライフヒストリー法を用い、高卒資格取得者の不登校経験者を対象とする。これによって、ジェンダー比率や最終学歴に基づいた分類と、不登校経験が社会的移行に与える影響を解明し、不登校研究とライフコース研究を融合させることを目指す。