地域社会における居場所の現状と展望
これまで社会学で語られてきた居場所研究は、その多くが教育の文脈で語られる学校等での居場所の問題であった。だが、近年は事情も変わりつつあり、ありとあらゆる世代・場所において、居場所問題が発生している。居場所研究において、最も有名ともいえるオルデンバーグのサードプレイス論は1989年頃のものである。現代においても通じる部分は確かに多いが、都市化・個人化・情報社会化などが進む現代社会に通用する新たな居場所研究を提示することが、本研究の目的である。
人口減少や個人化などを理由として、「地域コミュニティの希薄化」「社会的孤立」「つながり喪失」といった問題が現れてきている。これらの問題を解決すべく、居場所としてよく語られてきた物理的空間はもちろん、近年注目されつつある非物理的空間も視野に入れながら、フィールドワーク・インタビュー調査・資料分析などをもとに、本研究は行なわれる。
