19世紀における国際科学会議の進化論:国際化学会議を事例として
気候変動の問題を扱うCOPをはじめとして、国際科学会議の営みは現代社会において不可欠なものとなっている。この実践は19世紀ヨーロッパに始まった。特に化学分野では1860年のカールスルーエ化学者国際会議を皮切りに、世紀末にかけて各国で12の国際会議が実施された。本研究はそのうち、フランスやアメリカで開催された4つの会議を比較検討し、19世紀における国際科学会議がいかにして変化・発展したのかを明らかにする。手法として、議事録から各会議の概要(主催組織、参加者の国籍、議論内容など)を分析し変遷をたどるほか、書簡・雑誌記事などの資料をもとに各会議が当時の科学者にどのように受容されたのかを検討する。また本研究は、上記のような会議の発展史を示すだけでなく、科学者コミュニティの成立条件という既存の問題を、会議の組織・運営という観点から考察し、従来の成果を補完・刷新することを目標とする。