依存性についての哲学・論理学的研究

多くの事象は,他の事象に依存して成立する.例えば,株価の暴落というマクロな社会現象は,株の売買をする個人の意図や行為というミクロレベルの事象によって起こる.本研究では,この種の依存性 (dependency)様相 (modality) とどのように関連しているのかについて,哲学・論理学の両面からアプローチする. 具体的には次のような方針をとる.まず,依存性,様相それぞれの論理体系に着目する.様相の論理体系としては,様相論理という体系が古くから研究されている.一方で依存性の論理の研究にも進展が見られる (Kit Fine 2012 “The Pure Logic of Ground”等).そして,これら両体系に適用可能な意味論を構築する.特に本研究では,近傍意味論 (neighborhood semantics) という意味論に注目する.近傍意味論は様相論理の意味論として利用可能であることはすでに分かっている.さらに,近傍意味論は柔軟性があり,依存性の論理への応用も期待できる.その上で,近傍意味論を共通基盤として,依存性と様相の関係の分析を目指す.