ラップミュージックにおけるトラウマの語り:マイノリティの世代間トラウマに着目して
本研究は、社会的マイノリティが抱える世代間伝達トラウマの実態とその背景を調査すると同時に、そうしたトラウマからの回復の手段としてのラップミュージックの可能性を考察することを目的としている。マイノリティのトラウマ体験を調査するため、国内外にそれぞれフィールドを設ける。国内では在日外国人が多数住む川崎、生野、磐田を中心に、在日コリアンと日系ブラジル人を対象にインタビューをもとに質的調査を行い、日本型レイシズムとの関係について論じる。また、海外のフィールドとしてはニューヨークのサウスブロンクスで同じくインタビュー調査を実施し、日米のマイノリティのトラウマの実態について比較分析を行う。また、ラップを用いたトラウマの言語化実践についても日本で行われている「ラップワークショップ」と、サウスブロンクスの高校で行われている「ヒップホップセラピー」の両方で参与観察を行い、その成果について比較検討する。