社会学研究科 大西 健太(D3)

参加学会

International Society of Political Psychology(ISPP)Annual Meeting 2025
ISPP Academy

会場

Prague University of Economics and Business(チェコ共和国・プラハ)

参加レポート

2025年6月28日から7月8日にかけて、チェコ共和国・プラハに出張し、政治心理学を専門とする若手研究者を対象とした3日間のワークショップ「ISPP Academy」への参加、および国際政治心理学会(International Society of Political Psychology, ISPP)Annual Meeting 2025にて、現在進めている政治神経科学研究のポスター発表を行った。

ISPP Academy(6月30日〜7月2日)

写真1:ISPPアカデミーの様子

SPP Academyは、事前に共有される論文や講義動画を基に、参加者同士や講師とともにオープンなディスカッションを行う形式で実施された。参加者は約50名で、各自が自由に挙手して意見を述べたり、質問をしたりするスタイルで進行された(写真1)。

特に印象的だったのは、参加者の積極性である。多くの参加者が積極的に発言し、講師に対して鋭い質問や意見を投げかけていた。日本ではなかなか見られない光景であり、その熱量の高さに驚かされた。

ISPP Annual Meeting(7月3日〜7月6日)

写真2:Annual Meetingにおけるポスター報告の様子

学会初日の7月3日には、若手研究者とシニア研究者が小グループで昼食を共にする「Mentoring Luncheon」が開催され、私はUniversity of BaselのFanny Lalot氏と同席する機会を得た。彼女は私と同様に「Political Trust」の研究を行っており、自身の研究内容について相談したほか、「First International Network of Trust」というLinkedIn上の信頼研究者ネットワークも紹介してもらうなど、非常に有意義な時間となった。

7月4日には、ポスター発表を行った(写真2)。多くの来場者に足を運んでいただき、様々な質問やコメントをいただいた。特に印象に残っているのは、University of AmsterdamのPhD候補生であるXinyao Zhang氏との議論である。彼女は、政治的推論や説得の神経基盤に関する研究を行っており、私の研究と非常に近い関心を持っていた。彼女からは、非政治的信念の統制方法や、政治的洗練度などの個人差をいかに考慮すべきかといった、研究の根本に関わる指摘を受け、非常に有意義な対話ができた。

また、University of ExeterでSenior Lecturerを務める政治神経科学の第一人者であるDarren Schreiber氏など、他の著名な研究者たちとも交流し、LinkedIn上でつながりを持つことができた。自身の研究を発展させる上で、非常に貴重な経験となった。

7月5日には、前日にポスターを訪れてくれたSchreiber氏と昼食を共にする機会があり、現在抱えている研究上の課題について相談した。また、政治神経科学研究における心構えやアプローチのあり方について助言を受けることができ、大変ありがたく感じた。

学会最終日(7月6日)

最終日で特に印象に残ったのは、「Democracy Meeting」と題されたイベントである。ここでは、チェコ共和国における民主主義回復を目指す活動家とのディスカッションが行われた。参加者の中には、香港やトルコなど、現在民主主義が危機に瀕している地域の研究者も多数参加しており、彼らの議論からは、民主主義への切実な思いと、その重要性に対する深い認識が伝わってきた。

これまで私は、民主主義について理論的に学び、もちろん選挙にも数多く参加してきた。しかし、日本のように比較的安定した民主主義国家で生まれ育った私にとって、民主主義は「当然の前提」として受け止められていた。ところが、この場での議論を通じて、民主主義が決して当たり前のものではなく、多くの人々にとっては日々守り、闘い取るべき対象であるということを強く実感した。

総括

今回のチェコ共和国への出張を通じて、政治心理学の最前線に触れ、それを牽引する研究者たちと直接交流することで、自身の研究を一段と発展させる貴重な機会を得た。また、今後の研究活動に資する人的ネットワークや知見を多数得ることができたと実感している。今後は、今回得た経験を糧に、より質の高い研究に取り組んでいきたい。

なお、本出張は、SPRING事業の多大なるご支援によって実現したものであり、この場を借りて心より感謝申し上げる。今後もご支援に応えられるよう、研究活動に一層精進していく所存である。