冷戦期から2010年代までの日米同盟の変化-日米防衛協力の進展を中心に

本研究の目的は、冷戦期から2010年代に至るまでの自衛隊と米軍の防衛協力の発展過程を通じて、日米同盟の構造的変容を実証的に明らかにすることである。日米同盟は、共同防衛を義務づける相互防衛条約ではなく、日本が米国に基地を提供する一方、米国が日本を防衛するという「非対称同盟」とされてきた。しかし、1978年に「日米防衛協力のための指針」が策定されて以降、防衛協力は制度的に強化され、日本の役割も拡大した。冷戦終結後はその傾向が一層顕著となっている。

こうした変化を踏まえ、本研究では、「なぜ日米同盟は冷戦後、有事等で実効性を有する同盟へと変化したのか」を問いに設定する。冷戦期と冷戦後の比較を通じて、防衛協力の進展をもたらした要因を外交文書やインタビューに基づき実証的に分析する。さらにその進展が同盟構造に与えた影響を考察し、将来の同盟のあり方を検討するための客観的な材料を提供することを目指す。