最適な奨学金制度の探求

 日本では、日本学生支援機構(JASSO)が大学生への金銭的支援の大部分を担っている。奨学金制度は国によって多様であるが、日本においては低利子あるいは無利子による貸与が中心的な役割を果たしてきた点に特徴がある。近年、JASSOは給付型支援の拡充を進めているが、貸与型と給付型のいずれがより望ましい政策であるかについては、依然として明確な結論が得られていない。

本研究は、奨学金制度の本質的な目的を教育機会の均等化および所得格差の是正と捉え、制度設計が国全体の格差に与える影響を評価する。具体的には、日本経済の構造を反映したマクロ経済モデルを構築し、異なる奨学金制度の経済的効果をシミュレーションによって分析する。

貸与・給付の比較に加え、貸与額の配分、返済条件、給付資格といった設計要素も検討することで、より効率的かつ公正な奨学金制度を探究する。