本部の概要

研究活動のパワーハウスとして

本学においては、世界第一級の研究環境、グローバルなネットワークの構築、伝統的社会諸科学の深化と学際化及び研究組織の横断化などを通じて、21世紀におけるグローバルな社会現実に即応した新しい社会科学の創造を目指し、先端的で高度な研究成果をあげることを第一の研究における目標としてきた。とりわけ、世界第一級の研究環境とグローバルなネットワークの構築は、研究を担う人材の国際的な流動性が高まるなか、世界規模での優秀な研究人材の獲得競争に生き残るためには、欠かすことのできない必須要素である。研究面における国際戦略構想としては、社会科学の総合大学として日本のみならず世界におけるリベラルな政治経済社会の発展とその指導的、中核的担い手の育成に貢献するとともに、21世紀に求められる先端的社会科学の研究を推進し、名実ともにその世界的拠点となることを目指している。

1. 研究活動における国際戦略構想

本学は、経営・金融・経済・法律・国際関係等の社会科学の諸分野において、すでに21世紀COEプログラムにより研究を進めるなかで、社会諸科学の深化と学際化及び研究組織の横断化を進めている。一方、本学の国際戦略構想は、経済研究所、イノベーション研究センター、及び各研究科によるアメリカ研究を始めとした、地球規模での社会科学研究の実績を積み重ねつつ、戦略的にアジア研究に焦点を当てて、研究リソースを配分している。それは、これまでに経済研究所における「汎アジア圏長期経済統計データベースの作成(平成7〜11年度)」を課題とする文部科学省の中核的研究拠点形成プログラムとして実績をあげている。これらを発展させ、東アジア共同体構想に現れているようなアジアにおける地域連合へのダイナミズムのなかで、日本、中国、ASEAN諸国から構成されるアジア地域における国際関係、経済システム、金融システム、経営システム、法システムの将来に向けての設計に寄与することを目指す。これらを実現するために、アジア研究を主眼とする国際共同研究センター及び北京事務所を設立してきた。今後は国際共同研究センターを強化し、こうした方向の拡充を目指す。さらに、平成17年度に新設された国際・公共政策大学院アジア公共政策プログラムも「アジアの拠点としてのアジア地域の研究者・政策担当者とのネットワーク構築」を目指して様々な事業を進めつつある。

また、日本理解の基本となる日本研究においても、国際社会が我が国に対する理解をさらに深め友好関係を良好にするために、日本研究の強化と支援は必須であり、日本研究者のネットワーキングや高等教育機関の情報交換を促進することが望まれる。

2. 国際的な研究ネットワークの構築

研究を担う人材の国際的な流動性が高まるなか、世界規模での優秀な研究人材の獲得競争に生き残るために、世界第一級の研究環境とグローバルなネットワークの構築が不可欠である。前者については、本学ではすでに国際共同研究センターの共同研究プロジェクト室や宿泊施設が充実しているものの、優秀な外国人研究者に報酬面のインセンティブを付けるなど、国際戦略本部における国際戦略に基づき、研究環境をさらに整備することが必要である。これにより、優秀な外国人研究者を確保することが可能となる。後者については、本学は世界中の47の大学・研究機関との学術交流協定を締結し、すでにグローバルなネットワークを構築している。国際戦略に基づき、これら海外拠点を活用することによりグローバルなネットワークを一層強化することが期待できる。また、そのための学術論文のデータベース化や研究者データベース化が必要となるばかりでなく、例えば来訪研究者を中心とした研究者ネットワークの構築も欠かせない。さらに、優秀な外国人研究者を育成することは、教育面のみならず長期的視野からみた研究面においても本学の国際戦略に寄与する。

3. 国際共同研究センターの強化

ま国際共同研究センターを強化し、国際的共同研究グループにより、地球や世界のあるべき姿という視点から社会科学分野での基礎的研究を行い、それにより長期的な国際政治経済戦略の立案に資することを目的とした新研究センターを設立することを計画する。今後強化される研究センターは、世界のハブとして、地球及び世界システムのあり方という視点からアジアの問題を含むさまざまなテーマを考察する。その研究センターの特色を出すために、専任教員からなる固有研究組織とプロジェクトベースの国際的な共同研究組織から構成することが考えられる。構成員の国籍は問わず、また、国際戦略の視点から構成員における日本人のシェアは半分程度とする。この研究センターが学内共同施設として学内で個別に組織化されている国際的な研究ネットワークを支援するための強化を図る。そこでは、各種の研究ネットワークを運営し、共同研究にかかわるコンファランスやワークショップなどを組織する。

4. 学内研究組織間の有機的連携

アジアにおける地域連合へのダイナミズムについて研究を進める上で、地域連合としては先行している欧州の経験を研究することは極めて重要である。本学は、21世紀COEプログラム(「ヨーロッパの革新的研究拠点−衝突と和解−」)を進めるとともに、EU本部からの補助金を得て、EUIJ(EU Institute in Japan)を他の3大学とのコンソーシアムとして設立し、EU本部と連携しながら、EUにおける共同研究を欧州の研究者と進めつつある。このように、アジア研究と欧州研究の両方において世界的に最先端の研究を戦略的に進めることによって、これらの研究の間にシナジー効果が現れることを目指している。

本学は、欧州研究とともにアジア研究に焦点を当てた本学の国際戦略を実践するために、国際共同研究センター、経済研究所及び国際・公共政策大学院アジア公共政策プログラム、中国研究を支援するための北京事務所、そして、EU本部による財政支援を受けている欧州研究を行うEUIJから構成される国際戦略のための鼎足を有機的・効率的に活用している。これらがそれぞれ独立して持っている機能を十全に発揮することによって、それぞれのアジア研究、中国研究、欧州研究において相互に影響し合い研究成果を高めることができる。それと同時に、国際戦略に基づいて、これら国際戦略のための鼎足を有機的・効率的に活用できるよう、本学全体の国際戦略構想を立てることは、社会科学の総合大学としての本学が、アジア及び世界に共通する重要課題を理論的、実践的に解決し、アジアにおける政治経済社会の発展に寄与することは絶大であると確信する。本学における研究成果が、アジアにおける政治経済社会におけるシステム(政治システム、経済システム、金融システム、経営システム、法システム)の再構築にあたって国際機関や各国政府・研究機関のみならず企業等を通じても反映されると確信する。

本学は、従来より産官学連携による共同研究を進めてきた実績もあり、国際共同研究においても産官学連携による国際戦略を活用していくことになる。すでに北京事務所は中国企業連合会との産学連携による国際シンポジウムを開催している。このように中国での産学連携による国際共同研究活動により、中国企業活動に関するより詳細なデータに基づく研究分析が可能になるとともに、企業や政府に対して実態に即した提言を行うことが可能となった。

5. 研究活動のグローバル・リーチ

本学が行う研究・開発及びその関連の活動成果を国際社会及び地域社会にむけて広く発信し、可能な限りの範囲に普及・還元していくことを目的として、研究・開発活動のアウトリーチを国際戦略における不可欠なテーマと位置づける。世界の大学ランキング等において日本の大学が苦戦している状況のなかで、国際社会をリードする先端的な研究や開発例などの学内リソースを積極的に掘り起こし、オフショア及びオンショアで組織的かつ効率的にアピールし、世界の高等教育における知のパワーハウスとしての存在感を高めるための働きかけを行う。

研究・開発成果を国内外に広く公開することは、客観的かつ公平な外部評価及び世界評価につながり、その評価が世界的な標準で厳しく検証されることにもなる。それは、ひいては本学の教育研究活動の自己点検・自己評価にも資するものとなることは明らかである。日本を代表して国際社会に羽ばたき、home and awayで戦える人材を育成するためには、異文化と積極的に連携し、世界のトップレベルとしての自負と責任を認識することが必至であろう。そのために、国際戦略本部では以下の活動を支援し、強化し、推進する。

  1. インターナショナル・リサーチ・リンクの構築
  2. 国際シンポジウムの開催や共同研究の企画実施に対する支援
  3. 国際学会や専門誌における研究発表や投稿等に対する支援
  4. 学術論文等の外国語による発表等のための翻訳支援
  5. 研究・開発活動及びその成果の国際社会への公開・普及・啓蒙に対する支援
  6. 研究・開発活動及びその成果の地域社会への公開・普及・啓蒙に対する支援
  7. 協定校・姉妹校等とのアライアンス形成により、海外セミナー・講座等の実施に対する支援
  8. 多言語による教育研究活動の広報、大学オフィシャルサイトの充実と多言語化、パンフレットや冊子の拡充、メディアへの発信等に対する支援
  9. グローバル・リーチのためのUI/CIの推進と総合的な広報活動に対する支援

本学の国際的なプレゼンスを高めるために、国際戦略本部にグローバル・リーチのためのタスク・フォースを設け、教育研究情報の世界的な発信と戦略的な広報活動を展開する。広報活動の一部はアウトソースすることも視野にいれ、新たな国際評価と国際標準への道を切り開くことにする。もちろん、本学の海外拠点である北京事務所や、国際共同研究センターを強化し、EUIJ(EU Institute in Japan)等をフルに活用しての情報発信・海外広報を合わせて行うことはいうまでもない。

6. 国際事業に関するワンストップ・サービス事業の実施

海外出張、外国人研究者の招聘及び国際会議開催等に伴い必要となる各種の学内外における手続き及び行政手続き等(文部科学省や独立行政法人日本学術振興会等への手続き、届出書、入国査証取得にかかる関連書類及び外国人登録及び国民健康保険等保険加入手続等、航空便等の手配等)につき、一箇所又は一度の申請で所要の手続きが進むような仕組みを構築し、手続きをする者の負担軽減、利便性の飛躍的向上及び事務処理の簡素化並びに効率化を図るようにする。このために、いくつかの旅行代理店、国際会議の開催会議業者(Professional Congress Organizer)及び行政書士等との連携を図り、需要に応じた業者等の選定を行い、手続きの相談体制を整える。