本部の概要

教育活動のパワーハウスとして

本学では、「研究・教育で真に価値のある大学のみが国際社会からその存在を認められる」との観点から、これまでにすでに蓄積のある大学院及び学士課程における教育努力の拡充を基軸としながら、国際的に高く評価される研究志向型大学を目指すことを、教育における国際戦略の基本線と考える。そこに、教育研究に関する新たな国際化の手法や制度を戦略的に選択・導入し、社会科学の総合大学としての「一橋らしさ」を発揮しつつ、Awayでも戦える人材の育成にむけたカリキュラムの開発やプログラムの再構築を行う。

国際化を目指す大学の多くは、即効的な量的拡大策や数値目標の設定などによる性急なプロセスを模索しがちであるが、本学では、47の学術交流協定、22の部局間協定、25の学生交流協定(大学間19、部局間6)をベースにして、地道だがより高度でより密度の高い教育交流プログラムを吟味し、着実で確実で現実的な交流の支援体制の整備を旨とする。そして、それらが学生の意識改革を即す仕組みとなり、学生の潜在能力を顕在能力へと変化させ、国際社会の諸問題に果敢にチャンレンジする問題解決能力や課題達成能力を身につけたイノベーティブな人材の育成に資するものと確信する。また、海外の高等教育認定機関などによるAccreditationにも耐えられるような国際水準の教育環境を整備することを視野に入れ、教育レベルの質的拡充こそが教育における真の国際戦略であるとの立場に立って、以下をその戦略ドメインと考える。

1. 教育の国際的通用性・共通性の向上

1. 教育環境の多言語・多文化化への対応

社会のグローバル化傾向が進むなか、教育環境の多言語・多文化が趨勢となっており、国際化・多様化する社会の要請に応えるためには、グローバルスケールのコミュニケーション能力が不可欠である。本学では、他に先駆けて、大学院課程を中心にした英語による授業を提供して久しいが、海外の大学との複数・共同学位(ダブル、ジョイントあるいはデュアル・ディグリー)プログラム等を考慮するうえにおいても、あるいは交換留学制度等の学部・大学院レベルでの拡充を考えるうえにおいても、多言語・多文化に対応した特色ある教育支援プログラムは極めて有効といえる。または優秀な外国人留学生の獲得(語学力ではなく、基礎学力による選抜を重視)においても、多言語・多文化への対応は欠くことができず、そのような環境のエンリッチメントが今ほど求められる時はない。国際的に通用する外国語能力の強化のみならず、学生・教職員が共生マインドをもつような環境作りも重要で、そのための制度やカリキュラムの改善が望まれる。

2. 教育の国際的な通用性の向上

高等教育の国際化を推進するにあたっては、教育の国際的通用性の向上と国際競争力の強化がその根本であり、国際的な人材育成プログラムの実現は、大学教育のカリキュラムが国際社会や地域社会のニーズに的確に応えているかどうかにかかっている。本学においてもカリキュラム及びシラバスの公開性を高める努力を続けてきており、これをさらに世界に開かれたものとすることが求められる。また、海外の高等教育認定機関などによるAccreditationに耐えられるような、国際水準の教育環境とサポート制度を整備することが考えられる。

大学教育の質的改善の一つとして、カリキュラムの国際標準化と公開、国際プログラムの開発、評価基準の透明化、国際的な資格を取得するための教育の開発等を視野に入れた環境の整備が重要である。さらには、学生の流動性を促し、教育の国際的な交流性を高めるために、海外の大学との比較可能な評価基準や、学位・単位の相互認定システムを整備することも必要となる。それらが総合的に制度化され、世界的通用性の高い教育環境が整えば、おのずと国際的な信頼性が向上し、学部・大学院の評価が高まり、国際的な質保証の動きに積極的に参加できることになる。

3. Accelerated Dual Degree Programの提供

本学では、「世界に通用するプロフェッショナルな人材を育成し、その任を果たした大学のみが真の評価をうける」との立場に立ち、様々な議論と改革を重ねて、学部と大学院がより有機的に連携し、学部入学から4年後に学士、5年後に修士の学位が取得できる「学部・修士5年一貫教育プログラム」を開発している。すでに2000年から経営学修士コースを開始し、高い評価を得ているが、2004年からは商学領域の研究能力の高度化を加速すべく、研究者を目指す学生のための5年間一貫教育「博士進学コース」をスタートさせている。このコースは、高い志と能力、強い意志を持った学生に大きな可能性と機会を与えるものであり、外国人留学生にとっては留学コストの負担減や留学期間の短縮にも繋がる大きなアドバンテージとなるものである。グローバル化の急速な進展が見られる社会では、国が政策で、企業が戦略で国境を超えて競い合う時代であるが、Accelerated Dual Degree Program(5年一貫教育)はこうした時代の要請に呼応したカリキュラム改革のひとつでもあり、世界を相手にどれだけ力が通用するか、その能力と可能性とを高める場ともなる。

4. 海外の大学との複数・共同学位課程等の開発

協定校の大学院と合同で大学院の教育を行い、学生に両大学の学位を授与するプログラムを開発する。オフショア・プログラムの一環として、海外の協定校を拠点として行うことも検討する。また、海外の大学とツイニング・プログラムを実施し、それを複数・共同学位(ダブル、ジョイントあるいはデュアル・ディグリー)プログラムに発展させることも視野において検討する。あるいはEUIJの枠組みで、EUの大学が取組んでいる同種プログラムとの連携や相乗りも考慮する。

5. 「国際企業戦略研究科」における高度専門教育の展開

ワールド・クラスのビジネス・スクールとなることを目指して1998年に設置された国際企業戦略研究科では、日本発の「知」と欧米から学べる「知」を融合し、ユニバーサルに通用する教育研究の枠組み構築に取組んでいる。特に、「経営法務」、「国際経営戦略」、及び「金融戦略」という職業分野において、グローバルな規模で社会に貢献できるスペシャリストの育成に焦点をあてた高度な専門教育を行っている。グローバル化に対応すべく、日本と欧米のベスト・プラクティスを学べるようなカリキュラムを提供し、英語によるコースや10月入学を実施し、外国人留学生にも広く門戸を開いている。海外の大学とも独自の交流を実践しており、既に学術交流協定校は9校を数える。同種のビジネス・スクールは都心の大学を中心に増加する傾向にあるため、本研究科の立地条件の良さや外国人有識者・社会人の協力を得ている実績や信頼を維持しつつ、日本における国際的な専門職大学院のモデルとなっている。

6. 「国際・公共政策大学院」における先端的専門教育の展開

国際社会・国家・地域・企業・個人等、あらゆる場面において競争が激化するなか、職業に必要とされる専門性が増大し、また、雇用の流動化のなかでキャリア形成のプロセスも大きく変容してきた。そうしたなか、時代と社会の要請に応える形で、本学は2005年春に専門大学院制度を創設した。専門性、実践性への要求の高まりは、国際組織、国や自治体、NGO/NPO 等における国際政策及び公共政策の立案と執行等の場面においても生じており、一国・一地域の視点のみから見た政策は通用しなくなっている。本大学院は、法律学・国際関係からのアプローチを主とする「国際・行政コース」と、経済学をベースとする「公共経済コース」の2つのコースからなり、2つのコースはそれぞれ、「公共法政」・「グローバル・ガバナンス」及び「公共経済」・「アジア公共政策」というプログラムに分かれていて、日本語と英語による講義がともに充実したプログラムが特徴となっている。特に英語による講義の充実は、他の公共政策系大学院には見られない特徴である。

アジア太平洋地域との連携が重要であることは言をまたないが、グローバル・ガバナンス・プログラムの核となる Program in International and Asia-Pacific Relations やアジア公共政策プログラムの核となる Asian Public Policy Program という既発のプログラムにおいて、この重要な地域の研究者及び学生と交流を進め、アジア太平洋地域における教育・研究の拠点となるための活動を積極的に推進している。

7. 「日欧交信型法学研究者育成プログラム」の立ち上げ

法学研究科はEUIJの協力の下、日本と欧州との法と法文化に関する相互理解を促進するために、2005年度、「日欧交信型法学研究者育成プログラム」を立ち上げた。このプログラムを通して、将来法学研究者となる大学院生に対して、研究成果を主として英語で伝えるスキルを身につけさせるとともに、在学中に海外での研究論文発表、海外研究者との共同研究が出来るような能力の養成を行う。また、海外の日本法研究者に対する教育研究支援も目指す。

8. 国際学生宿舎での外国人留学生と日本人学生の交流推進

2002年に開館した小平キャンパスの国際学生宿舎には、本学及び東京学芸大学、東京農工大学、電気通信大学の外国人留学生とその家族、450名近くが本学の日本人学生約350名と生活している。小平市国際交流協会を軸に小中学校との交流、日本文化を学ぶ講座の実施、お祭り等イベントの共同開催など地域との交流は進んでいるが、宿舎内での日本人学生と外国人留学生の交流は十分に図られていない。国際学生宿舎は学生のための単なる居住施設ではなく、教育的施設であるという認識に立ち返り、在学中に日本人学生と外国人留学生が共に異文化を学びながら生活することは、将来にわたってかけがえなのない経験となることを踏まえ、その環境づくりに努力する。具体的には、日本人学生と外国人留学生がともに共用タイプの居室で生活したり、個室タイプでも両者が隣室となるような真の意味での混住を図るようにする。

2. 日本人学生等の送り出しプログラムの開発

現在、1年間の交換留学のみの海外留学制度を再検討し、プログラムの多様化と質的拡充を目指す。主として、夏季・春季休暇中を利用した海外短期集中研修、1セメスター程度の中期派遣・交換留学、1年間の交換留学の3種類の段階的なプログラムを基本とし、インターンシップやボランティア活動あるいは多様なフィールド・ワークを含む体験学習型プログラムの開発に重点をおくこととする。新規プログラムの創設により、学生のニーズや能力に応じた多様な留学プログラムを用意し、全学生の1割程度が在学中に留学できるような体制を整備する。そのためには、専門的な知識・能力と経験を備えたスタッフを擁し、教員と職員が一体となって運営するような組織体制が必要となることはいうまでもない。また、大学の提供する留学プログラムだけでなく、個人で休学して留学する学生やワーキング・ホリデー等に参加する学生、また学部課程卒業後、大学院への留学を希望する学生等もサポートできるような支援体制をめざすとともに、出発前オリエンテーションや事前セミナー等の充実を図り、国際プログラムに安全と効果を生み出すような試みを行う。

1. 長期海外派遣プログラムの開発・推進

海外の大学等において学位の取得や専門分野の研究を目的とする、大学院学生を対象とした、長期海外派遣プログラムを開発し推進する。現在本学は、学部生を対象とした「短期海外研修」、学部後期課程、大学院正規課程を対象とした「海外留学奨学金制度」(交換留学プログラム等)、修士課程における「ルノープログラム」、博士課程における「日仏共同博士課程」などのプログラムを推進しているが、長期海外派遣プログラムを策定することにより、多様な留学プログラムの体系だった留学システムの開発を一歩進めることができる。このプログラムは文部科学省が平成17年度から設置した「大学教育の国際化推進プログラム(長期海外留学支援)」事業に合致したプログラムとして開発・推進する。         

2. 短期海外研修の開発

海外留学プログラムの多様化のために、夏季と春季の休暇期間中に短期海外研修を実施する(今年度、春季休暇期間に4週間の研修をオーストラリアのモナッシュ大学でパイロット・プログラムとして実施する)。春季と夏季、それぞれの長期休暇期間中に英語圏での短期研修を2本、その他の言語(中国語、仏語あるいは独語等)圏での短期研修を1本程度実施する。また、語学研修・異文化体験中心のプログラムだけでなく、ボランティア活動、フィールド・ワーク、インターンシップなどを主体とする体験学習型プログラムの開発を行う。

3. 交換留学プログラムの多様化

英語による短期プログラム(受入れ)を開設し、交換留学生の受入れを増やすことにより、交換留学(派遣)の拡大が可能となる。また、ISEP (International Student Exchange Program)やIES(International Education of Students)等の海外留学コンソーシアムに加盟することにより、学生交流協定校を増やさずとも交換留学プログラムの量的拡大を図ることができる。これらのことを考慮に入れ、交換留学は1年のプログラムだけでなく、1セメスターのものを設けたり、交換ベースではない1セメスター程度の海外(派遣)留学プログラム(自費)を設けたりすることにより、学生のニーズや能力に応じた留学プログラムを提供することを検討する。

4. 課外語学講座の提供

海外留学をするにあたって受験しなければならない語学試験(英語のTOEFL、IELTS、中国語の漢語水平考試、フランス語のDELF/DALF、ドイツ語のTestDaf等)の対策講座や留学用の会話力養成のための語学講座、さらにはスタディ・スキルを学ぶ講座等を開設し、海外留学希望者をサポートする。この種の講座を開設するにあたっては、語学学校にアウトソーシング(学内の教室や教材作成のスペースを語学学校に提供することにより、受講料を安くすることが可能)することを検討する。受講料については、大学あるいは如水会で一部補助することも視野に入れるが、基本的には自己負担とする。また、学生が安価で手軽に留学のための英語力を測れるようTOEFLについては、模擬試験として知られているITP-TOEFLを生協と提携のうえ、学内で定期的に実施する。

5. ゼミ、研究室、クラブ単位での国際交流活動の支援

本学では、ゼミや研究室での研究教育活動が海外で行われたり、文科系及び体育系クラブが海外の大学の同種クラブと交流活動を行うことが多い。しかしながら、これまではそれらの活動に対する大学の支援が十分であったとはいえない。よって、ゼミや研究室単位あるいは学生のクラブにおいて、海外での活動や海外のカウンターパートとの交流を行う場合、大学として支援する。具体的には、コンペ・ベースでの資金援助や大学の危機管理体制による組織的なサポートなどを行う。

6. 海外留学支援のための奨学金の充実

本学には現在如水会、明治産業及び明産からの寄附金による海外留学奨学金制度(一橋大学海外留学奨学金)があり、主として協定校等への交換留学を希望する学生の中から毎年30名強が選抜され、1年間の支給を受けている。この制度を海外留学プログラムの量的拡大と多様化に合わせて、さらに充実させる。本奨学金が主として学部生向け(約28名)のものであるため、現状では大学院生への支給が少ない(約6名)。よって、奨学金受給者総数の増加だけでなく、優秀な研究者となるためのキャリアパスとして留学経験が重要視される現状に鑑み、特に大学院生向けの奨学金を量的に拡大する必要がある。そのためには、如水会を中心とする卒業生ならびに企業への資金的援助を求めるだけでなく、本奨学金を受給して留学した学生の経験を大学教育の中で活かす工夫やスポンサーへのアカウンタビリティを果たすような活動を行う。

3. 外国人留学生の受入れプログラムの充実

多様かつ優秀な外国人留学生の受入れと日本人学生等の派遣留学プログラムの拡大につながるような短期プログラムの整備・拡充を目指す。学位取得目的の私費留学生については、すでに国内に在住している留学生だけを募集の対象とするのではなく、積極的に海外の留学生市場にアプローチし、学力、経済力共に高い外国人留学生を獲得する。また、学部課程の外国人留学生を増やすことは日本人学生等に対する教育的効果を高める。

1. 外国人留学生入試制度の見直しと主体的な受入れ

現在、外国人留学生の受入れは大学院生中心(学部課程:30%弱、大学院課程:70%強)であるため外国人留学生の全学生に占める比率は、大学院課程では約20%と高いにもかかわらず、学部課程ではわずか3%である。また、本学では国費留学生の割合がかなり高い(国費:37%、私費:63%)状況にある。学部レベルの私費留学生を中心に受入れを増やすことにより、学部課程での外国人留学生比率を上げ、日本人学生等が4年間の課程で留学生と共に学び、交流する機会を増やす。そのためには、現在4学部で統一的に実施されている外国人留学生入試を各学部の主体的な受入れに移行させるような検討も必要となってくる。募集人数、受験資格・科目等は学部ごとに設定したり、私費留学生の受入れ拡大にあたっては、海外での募集活動により、東南アジアを中心に学力、経済力ともに高い外国人留学生の獲得などを目指すことを含めた見直しを行う。

また、大学院においてほとんどの研究科が「国外から送付される願書は受付けない(すでに日本国内に在住している留学生からの志願のみを対象としている)」としている現状を改め、海外からの直接の応募も受付けるような対応を考える。

2. 海外における外国人留学生募集活動(リクルーティング)の展開

優秀な外国人留学生を確保するためには、国内の日本語学校あるいは大学に在学している留学生からの願書を受付けるだけでは十分とはいえない。海外での募集活動(リクルーティング)を積極的に展開することにより、学力が高くしかも私費で留学できるような経済力を持った外国人留学生の確保を目指す。具体的には、1・北京事務所や如水会の海外支部等の活用、2・入学前に受給者を決定する外国人留学生のための本学独自の奨学金の創設、3・海外の高等教育機関と提携し、ツイニング・プログラムによる学部課程への編入学の受入れや推薦ベースの大学院への受入れ、または海外留学希望者の多い私立中等教育機関からの推薦ベースの入学制度を実施する。

3. 短期講座の開発や短期留学推進プログラムの導入

夏季・春季の休暇期間中等に「日本語・日本文化研修プログラム」(海外の大学が単位認定できる内容)、「日本語教師のための集中講座」(海外の日本語教員に対する短期研修)のような短期講座(サマー・スクール)を開講し、協定校を含め広く海外から受講生を獲得することを検討する。上述のISEPやIES等のコンソーシアムを活用して受講生を受入れることも考慮にいれ、4週間ぐらいのプログラムで外部資金を確保するための事業として行う。

また、英語による短期留学プログラム(受入れ)を開発し、日本語能力が高くない外国人留学生でも1年あるいは1セメスター受入れられる体制を作る。短期プログラム(受入れ)の実施は、交換留学の促進にもつながる(交換留学生の受入数を増やすことは、派遣数の拡大につながる)。これらのプログラムを協定校以外の留学生(授業料徴収)にも開放することにより、短期プログラム(受入れ)運営のための財源確保の一助とする。

4. 国際協力機関との連携による短期専門職研修の開催

すでに国際・公共政策大学院では、アジア公共政策プログラムが中心となり「一橋経済政策エクゼクティブ・プログラム」を日本政府及び国際通貨基金(IMF)の財政的支援を得て、アジア諸国の経済政策関連官庁及び中央銀行の上級スタッフに対して、年2回程度、マクロ経済政策に関するセミナーを開催している。本セミナーにおける問題意識の共有を通じて各国政策当局者間のネットワークが拡大している。この実績を下に、同様の取組みが他の研究科でも行えるように大学の支援体制を整備する。さらに、JICA、JBIC等の国際協力機関と提携して、開発途上国の人材養成として行われている短期研修(たとえば金融制度、法制度に関する研修等)を大学として組織的に請け負う。外部資金の導入という面からも積極的に取組みたい。

4. 内外の高等教育機関との連携

内外の高等教育機関と連携し、新規プログラムの開設や既存プログラムの多角的展開を目指す。特に国際的な複数・共同学位プログラムを海外の大学と共に開発することは、国際的に通用性の高い教育システムを構築することとなり、学生の専門性を高めるだけでなく、国際性を培うことにつながる。また、教員間の国際的な連携や共同研究の発展にも寄与する。

1. 東・東南アジアでのオフショア・プログラム等の検討

海外の高等教育機関と提携して、学位プログラムを現地で提供する。中国、香港、マレーシア、シンガポールを中心に欧米の大学が、すでにこの種のプログラムを展開しているが日本の大学に対する期待も大きい。1・ツイニング・プログラムのように課程の一部を現地で学び、残りは本学に留学し、課程を修めるものと2・すべての課程を現地で履修するもの(留学する必要なし)の両方を提携先の事情に応じ検討する。双方が大学の場合は、複数・共同学位(ダブル・ディグリー等)プログラムに発展させることも検討する。

そのほか、文部科学省並びに国立大学協会が推進する「アジア太平洋大学交流機構」等のネットワークを活用して、アジア太平洋地域の大学との交流を推進し、アジア諸国との交流の機会を増やし、学生交流協定を開拓することによって、学生のモビリティーを高める工夫をする。本学の北京事務所の活用及び本機構への参画はこの点で有効な手段となりうる。

2. 新たな外国語・外国文化に関する教育プログラムの開設に向けた検討

現在、外国語及び外国文化に関する教育プログラムについて、その開設に向けた検討を進めているところである。外国政府や学術交流協定大学との連携を視野に入れて検討を進めることとし、小平キャンパスの活性化を図る観点から、この教育プログラムの対象を本学学生だけでなく広く市民に対して開放を行う。

3. コンソーシアムの積極的な活用

「多摩地区国立5大学(東京外国語大学、東京学芸大学、東京農工大学、電気通信大学及び本学)・津田塾大学」、「4大学(東京医科歯科大学、東京外国語大学、東京工業大学及び本学)連合」、「EUIJ(国際基督教大学、東京外国語大学、津田塾大学及び本学)」の枠組みを国際教育交流プログラムの展開においても活用し、各大学のリソースを有効利用する。交換留学、海外短期研修プログラムの共同運営(お互いに自前のプログラムを開放する)、外国人留学生のための短期プログラムや日本語プログラムの共同運営(たとえば小平キャンパスを拠点として行う:コンソーシアムの大学の外国人留学生が小平キャンパスに通って授業を受ける)などを検討する。また、本学の加盟している上記国内のコンソーシアムと海外のコンソーシアムで交流を行えば、学問領域を超えて幅広い国際的な教育研究活動が期待できる。

5. 地域交流とコミュニティーへの知の開放

一橋大学が国立市や小平市の国際化を推進する核となるべく、地域の様々な組織や団体との連携を図る。本学は教育目標に「市民的公共性と国際性を備えた人材育成」を掲げており、学生に対して「市民的公共性と国際性」を養うだけでなく、大学教職員・外国人留学生及び地域も巻き込んでの、大学と地域における国際化の質的向上を目標とする。

1. 外国人留学生、研究者、教員とそれらの家族への支援

従来より、大学、地域及び学生の留学生支援団体が一体となって外国人留学生の支援を行ってきた。地域については、国立市では公民館と種々のボランティア団体が、国立キャンパスの国際交流会館に入居する外国人留学生を中心に、小平市では小平市国際交流協会が小平キャンパスの国際学生宿舎に入居する外国人留学生を中心に、彼らの支援において中核的な役割を担っている。特に外国人留学生に対する渡日・入学時の支援は重要であり、両キャンパスにおいて、大学でのオリエンテーションにも参画してもらい、それを契機として、日本語学習支援、ホームステイ・ビジット、ホストファミリー、生活相談、文化交流などのプログラムが展開されている。しかしながら、今後、本学が受入れる外国人留学生が増加し、ますます多様化するようになれば、外国人留学生のサポートに対するニーズも多様化し、それに応えるためには、大学だけでなく、地域との連携、隣人として地域に受入れられる仕組みがより重要となってくる。

本学としては、今後強化される研究センターを中心に外国人研究員・教員の受入れ及び採用を増やすことを計画しており、外国人研究者や教員が増加するようになれば、彼らに対する支援についても、外国人留学生とは違った視点での取組みが必要となり、それについても地域のリソースを有効に活用することが欠かせない。よって、本学は外国人との共生におけるモデルケースとなるべく、地域との連携をより一層深め、支援活動を質量共に向上させる。

2. 国際プログラムの地域への開放

本学が実施する短期海外研修プログラム等を地域にも開放し、教職員と学生及び地域住民がともに海外で学ぶ機会を提供できないか、その可能性を模索中である。三者の協働作業は、大学と地域の壁を低くし、両者のリソース共有を促進する。また、三者の相互理解を深め、交流を促すだけでなく、国際性と市民性を醸成し、大学の社会連携を推し進める効果もある。海外研修先としては、移民受入れの先進的事例として定評のある北欧の諸都市視察などのプログラムや、東南アジア諸国における貧困と教育をテーマにしたプログラムなどが挙げられる。

また、すでにEUIJでも一橋大学EUコースの教授陣を「まちかど教室」等に講師として派遣し、ユーロやEU統合の歴史などの講義を開催するなど、市民への知の開放を目的とした各種プログラムが実施されているが、国際交流・異文化理解のための「まちづくり」の取組みに、大学はさらなる貢献をすることが望まれる。今後もさらに国際シンポジウムやセミナーを積極的に市民に公開し、「世界の中の大学」、「地域の中の大学」としての一橋大学が、知のパワーハウスとしての真価を発揮するようなチャレンジを行う。