HOME > 若手研究者海外派遣> 海外派遣支援> 第3回講習会開催報告

若手研究者海外派遣

【開催報告】
第3回講習会 短期海外派遣報告会:第一弾 ―共同研究・調査から論文執筆へ―

写真1 写真2

1. 概要

  1. 日時:2010年11月15日(月)16:20 - 18:00
  2. 場所:国際研究館1階教官会議室
  3. 登壇者(敬称略):
    攝津斉彦氏(経済研究所特任准教授)
    長田健氏(商学研究科ジュニアフェロー)
    上村淳志氏(社会学研究科博士後期課程)
  4. 企画運営:佐藤裕(国際化推進室特任講師)

2. 目的

登壇者の報告を通じて、短期海外訪問をどう実現させ、その成果を研究やその後のキャリア形成にどう生かすかについて、以下に焦点をあてながら理解する。

  1. 受入研究機関および研究協力者をどう発掘し、受入に向けてどのような準備を進めたのか。
  2. 時間的制約のなかでどのように調査や資料収集を進め、また人的資源を活用したのか。
  3. 海外派遣によって、各種論文執筆や研究ネットワークの拡大などの面でどのような展望が開けたのか。

3. 内容

長田氏は、オーストラリア国立大学での短期訪問の経験にもとづき、派遣前の準備から派遣中の研究活動を中心に報告した。長田氏によれば、派遣前の準備で肝要なのは、業績リストを含む英文履歴書と研究計画書の作成のほかに、ビザと保険の申請である。また、現地の住居については、留学生でもなければ研究スタッフでもないことから、手配が困難となる。派遣中の研究と生活に関しては、長田氏は留学生のように「縛り」がない環境で現地研究者との交流を図るために、週1回の研究ミーティングや月1回の勉強会に参加し、また英語のチューターをお願いするなど、積極的に研究活動を展開した。その一方で、スポーツなどの余暇も充実させた。帰国後は、現地研究者のみならず、サバティカル等で現地を訪問した日本人研究者との交流も弾力的に行った。

上村氏は、メキシコ大学院大学での短期訪問の経験にもとづき、受入機関と研究者の選定から、滞在中の調査と資料収集、そして人脈形成と帰国後の論文作成について報告した。上村氏の場合は、調査地や訪問先が複数の地域にあったことから、短い滞在期間のなかでどのようなスケジュールを組み、各滞在先でどのような資料収集や調査を行ったのかについて具体的な話がなされた。資料収集の場合、現地図書館の利用規定の確認が必要になるのとともに、治安の悪い地域での調査については万全の対策が必要であることが指摘された。また、帰国後の活動としては、論文の執筆と訪問先機関への報告書の提出が優先事項となることが示された。

攝津氏は、本学の指導教員と訪問先の研究者を媒介としたケンブリッジ大学での短期訪問の経験を報告した。攝津氏の滞在期間は4ヵ月間で、ビザ取得の必要はなかったようだが、今後の研究者人生を鑑みてAcademic Visaを取得したという。その際に苦労したのが、戸籍謄本の翻訳である。ケンブリッジ大学では、学生としてカレッジに所属をしていれば入寮が認められるが、そうでない場合には住居を自分で探す必要があるようである。攝津氏は語学に関して多少の苦労をしても、本事業を研究論文の執筆や人脈の形成など、研究者としてのさらなる研鑽の場として活用すべきことを強調した。

表1 講習会の内容と次第
内容 報告者(敬称略) 時間
はじめに 佐藤裕
「若手研究者海外派遣について」
16:20 - 16:30
報告 長田健(商研)
「BIS規制が銀行行動と世界経済に与える影響」
16:30 - 16:55
上村淳志(社研)
「メキシコの性愛倫理をめぐる交渉ー
メトロポリタン・コミュニティ・チャーチの総会の分析から」
16:55 - 17:20
攝津斉彦(経研)
「職業構造の歴史的国際比較研究」
17:20 - 17:45
質疑応答
17:45 - 18:00

4. 成果

当日は、男性2名、女性5名、計7名の参加があった。

アンケートの結果からは、6名の受講者が講習会に対して「満足」し、1名が「やや満足」した(5段階尺度による評価)。以下は、参加者が本講習会のどの点に関して満足したのか、また講習会を通じて何を学んだのかを示すものである。

満足した点

  • 実際に行ってみないと分からない苦労などが聞けてよかった。
  • 実体験を聞く機会に恵まれ、参考になった。
  • 現地での生活や研究の様子に加え、帰国後の研究についても話が聞けて参考になった。
  • イレギュラーな短期派遣/留学までの具体的なルートをイメージすることができ、非常に参考になった。

学んだ点

  • 派遣前と派遣中の金銭面での問題
  • 事前に居住情報を調べ、研究者との人脈を作り、派遣先でも使う資料を準備すること。
  • 海外渡航を現実的に考えることができるようになった。
  • 事前準備が研究面でも生活面でも重要なこと。
  • 有益な成果の獲得のためには、留学前の具体的なイメージと準備が必要なこと。まずは受入先との人脈作りからはじめたい。

5. 今後の課題

  1. 今回は「一斉メール」での案内状の2度にわたる配信や案内状の複数個所への掲示にもかかわらず、参加者が少なかった。助成金の獲得(1月中旬を予定)や英文履歴書作成等に関する講習会とは異なり、成果報告会には人数が集まらない傾向にある。次回の成果報告会(2月上旬を予定)に向けた対策が必要である。
  2. そのためには、案内状に盛り込む文言の工夫が必要なのかもしれない(e.g. 短期海外留学の生活上の問題点や、分野・課程横断的な短期海外留学の実現法など)。