一橋教員の本

自由であることの苦しみ : ヘーゲル『法哲学』の再生

 
自由であることの苦しみ : ヘーゲル『法哲学』の再生  

自由であることの苦しみ : ヘーゲル『法哲学』の再生

 アクセル・ホネット著 ; 島崎隆 [ほか] 訳
未來社   2009年11月刊行
ISBN : 9784624932596    本体2,200円+税
 刊行時訳者所属 : 島崎隆(一橋大学大学院社会学研究科)

訳者コメント

 アクセル・ホネットは、ユルゲン・ハーバマースを継承する、フランクフルト学派の代表的人物である。本書は、ヘーゲル『法哲学』のきわめて現代的な再生を試みたものであるが、その大胆な読みにはおおいに引きつけられるものがある。個人の自律と自己決定といえば、現代の新自由主義の考え方であるが、まさにその点が自由の「コミュニケーションモデル」によって徹底して批判される。ここにホネットのいう「時代診断」が見られる。ヘーゲルのいう「抽象法」「道徳」の領域でいわれる一面的な自由は、かえって孤独、空虚さ、抑うつ的状態を招くが、家族、市民社会、国家のなかで教養形成をへた人間は、そこで初めて解放される。そのさいホネットは、「国家」の新しい解釈を示す。



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