一橋教員の本

少年司法における参加と修復

 
少年司法における参加と修復  

少年司法における参加と修復

 葛野尋之
日本評論社   2009年2月刊行
ISBN: 9784535516724   本体5,500円+税
 刊行時著者所属 : 葛野尋之(一橋大学大学院法学研究科)

著者コメント

 少年法は、非行をした少年の「健全育成」を目的とし、ケースワークや保護処分の教育機能を重視してきたが、最近の改正によって、重大非行をした少年に対して積極的に刑事処分を適用するなど、厳罰化・必罰化の方向に進んでいる。また、意見聴取、審判傍聴の許可など、被害者配慮の規定も盛り込まれている。本書は、このような近時の趨勢に対して、少年の成長発達権の保障のもと教育機能を再生し、適正手続を実質化するという少年司法改革の基本構想を対置させたうえで、①厳罰化改正の批判的検討と逆送要件に関する新たな法解釈、②修復的責任を基礎にした非行克服の実質化とそのための教育、社会的支援、③少年司法における被害者救済・被害回復と被害者参加、④審判手続と刑事手続における手続参加の保障、⑤少年の手続参加を確保するための法的援助の保障、⑥コミュニティの教育機能と少年司法を結びつける多様な市民参加、の各局面について、より具体的な改革構想を提示している。



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