一橋教員の本

物語で読み解くリスクと保険入門

 
物語で読み解くリスクと保険入門  

物語で読み解くリスクと保険入門

 米山高生
日本経済新聞出版社   2008年12月刊行
ISBN: 9784532353391   本体1,600円+税
 刊行時著者所属 : 米山高生(一橋大学大学院商学研究科)

著者コメント

 「リスク」は、現代の金融現象を理解するために最も重要な概念ですが、日常世界では、多義多様に使われる言葉です。たとえば、日刊紙で「リスク」という言葉が使われていない日はありません。この本を書いた目的のひとつは、氾濫する「リスク」という言葉を文脈に即して正確に理解するための基礎知識を、金融に関心のある初心者の方に伝達することです。人類は、様々なリスク軽減手段を開発してきましたが、保険はそのもっとも重要な手法です。リスク概念を理解した上で保険という仕組みを考えると、これまでは明確になっていなかった様々なことがわかってきます。これをわかりやすく伝えるというのが本書の第二の目的です。第三の目的は、保険の面白さを伝えたいということです。本書は、保険理論がリスクを共通概念として、マーケット(ファイナンス)と深く結びついていると同時に、市場原理だけでは割り切れない要素を持っていることを、歴史素材をとおして明らかにしています。純粋な理論だけでは割り切れず、かといって経済合理性を欠いているわけではない保険という存在を、私は大変面白いと感じています。本書の三つの目的が十分に活かされているかどうかは、読者の皆様の判断にお任せするしかないですが、これまでにないようなユニークな「啓蒙書」を世に送り出したという達成感はあります。



Share On