一橋教員の本

市民社会の帝国 : 近代世界システムの解明

 
 

市民社会の帝国 : 近代世界システムの解明

 J.ローゼンバーグ著 ; 渡辺雅男, 渡辺景子訳
桜井書店   2008年6月刊行
ISBN:9784921190507   本体4,300円+税
 刊行時著者所属:渡辺雅男(一橋大学大学院社会学研究科)

訳者コメント

本書は、現実主義に対するラディカルかつ内在的な批判を行ない、「主権」や「無政府性(アナーキー)」といった、現実主義の中心概念が、実は資本主義社会に特有の社会政治的現象の無批判な反映にすぎないことを暴露した、きわめて衝撃的な内容の書物である。国際関係の理論的再検討を読む者に強く迫る内容でもある。ドイッチャー賞を1996年に受賞し、長くその翻訳が待たれていたことも、本書を読めば誰もが納得するだろう。マルクスの古典的な資本主義論が現代の最先端に位置する「グローバリゼーション」の現実を解明するためにこれほど有効であることを説得的に論証した本はおそらく古今東西見渡しても皆無である。近代世界システムの解明が理論と歴史の双方から行われている本書は、国際関係論を学ぶ者だけでなく、グローバル化の時代の社会科学を求める者にとって必読の文献である。(渡辺雅男)



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