一橋教員の本

国家と個人 : 市民革命から現代まで

 
 

国家と個人 : 市民革命から現代まで

 田中浩
新版   岩波書店   2008年2月刊行
ISBN:9784000228787   本体2,300円+税
  刊行時著者所属:一橋大学名誉教授(法学博士)

著者コメント

本書の初版は、もともとは、「NHK市民大学」(1989年4月から9月にかけて、教育テレビで12回放映)のテキスト『近代国家と個人―民主主義思想の変遷』を土台にして新たに構成されたものである。
刊行以来、もう18年になるが、この間、14刷を重ね、多くの読者に愛用していただいたことは誠に光栄であった。テキストの原稿執筆後に起こった「天安門事件」や「東欧社会主義諸国の自由化・民主化運動」については、まったく想定していなかったし、初版出版のわずか1年後には、「ソ連邦の崩壊」という驚天動地の事態が発生した。しかし、政治思想史の研究者としては、現代世界において確かになにかが大きく変化しつつあるという予感はあったから、初版の「あとがき」では、いずれ書き直す必要がでてくるであろうと書いたが、2001年の同時多発テロ(9.11事件)を契機に、アメリカ主導の「イラク戦争」が勃発し、EU主要国のフランス、ドイツが反対するという事情をみて、戦後政治に新しい事態が発生 しつつあると考えざるをえなくなり「改訂」を決意した。新版は、冷戦終結以後の時代状況を踏まえて、第二次世界大戦以降を扱った第12章を全面的に書き改め、注も大幅に増補改訂し、新たに索引を付した。
読者が本書を基礎にして、それぞれの思想家の思想を研究し、「歴史と思想」研究の「深さと面白さ」を発見していただければ、望外の喜びである。



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