一橋教員の本

他者の自伝 : ポストコロニアル文学を読む

 
 

他者の自伝 : ポストコロニアル文学を読む

 中井亜佐子
研究社   2007年12月刊行
ISBN:9784327481513   本体3,800円+税
 刊行時著者所属:中井亜佐子(一橋大学大学院言語社会研究科)

著者コメント

「ポストコロニアル文学」――近年、アジア、アフリカ、カリブ海地域など旧植民地出身の作家による文学作品を、このような呼び方で総称することがある。本書は、1980年代末以降現在までの英語圏のポストコロニアル文学と批評、とくにV. S. ナイポール、エドワード・サイード、J. M. クッツェーの作品を中心に分析し、その思想を「他者の自伝」という言葉で概念化しようと試みたものである。
ポストコロニアル文学はしばしば、作者の人生と対応させることなくしては読解できない文学だと考えられている。また、インドやアフリカの作家が自分の人生を描くことは、自分の民族全体の歴史を語ることだとみなす読者も多い。その一方で、ポストコロニアル文学には、そうした「わたし」あるいは「わたしたち」の自伝に対する痛切な批判意識が秘められていることもある。「他者の自伝」とは、古典的な自伝概念に抵抗し、そこから逸脱し、「他者」の「わたし」を語るという不可能に挑戦するテクストなのである。

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